ただいま絶賛ミキシング&発酵中。

やることはいくらでもあるわけですが、ずっと作業していると足元から冷気が上がってくるので、少し暖をとるよ。強力な換気扇が外の冷涼な気候を取り入れ続けているので、オーブンとFF式ストーブが頑張ってもなんともならん。

さてヴァレンタインデーの思い出ですが、義理チョコも経験があるし友チョコもやったことがあるし息子にチョコをあげて喜ばせたこともある。

しかし決定的な告白にチョコを使うとか下駄箱に入れるとか(衛生的にいかがなものかと)、自転車置き場で待ち伏せとかもちろんないわけである。やる人っているのか。いるんだろうなあ。

高校時代、趣味ではないがどう見ても美少年という生徒がいて、上級生も彼の存在を知ってはいたくらいだが、モテているところを目撃したことはない。

ジャーニーズ系と言うのがぴったり嵌るような美少年だったが、おモテになるのはこれも趣味じゃないが応援団長とかです。1年生は応援団長に憧れる。侠気溢れ厳しいし怖いが過酷な鍛錬に耐えて団長になった人は存在感があった。旧制高校の弊衣破帽の流れを汲み、ぼろっちゃけた制帽制服だったが、これは容認されていたのである。

先生にもそこそこハンサムな人がいたが、いちばん人気があったのはたぶん生徒と仲良くしようとは全然思ってもいない物理の先生です(笑)。
ということで美男はまるっきりモテない校風の高校を出て女子短大に入り、寮が甘ったるくなるヴァレンタインデーがやってくるようになったのである。私は当時も天火オーブンで製菓に余念がなかったが(学科は国語国文学科である)、その時期はみなさんにオーブンを明け渡して蟄居していたのであった。

しかし先輩に手作りのお菓子をあげるの♡というもちろん玉砕覚悟の女子の味見に付き合って思ったのは、なぜ好きになってほしい相手にマーガリンを使った生焼けのクッキーを贈るのかということで、空気が読めない私は美味しいとは口が曲がっても言えなかった。周りはもちろん彼女を励ますように美味しいと言っていて、日頃は意地悪な先輩も一生懸命褒めていた。でも私は美味しくないものは美味しくないとしか思わない。

中学時代からなけなしのお小遣いでバターを買い型を買って、不器用ながらお菓子を作って来た私には彼女のやっていることはトンチンカンにしか思えなかった。バターだったら恋は実ったのか。無理だ。しかしすきならば財布を空にしてもいい材料で作るべきじゃないのか。

と当時も思ったしいまでも好き好きと言いながら片思いの相手にプレゼントするお菓子の材料はケチり、私が自分で稼いだお金で映画を観に行くのをお金があっていいね〜とイヤミをいう彼女のことは嫌いである。人のお金の遣い方に容喙する人間は須らく大嫌いである。

ヴァレンタインデーの思い出というと寮でいちばん嫌いだった彼女の生焼けクッキーが真っ先に浮かぶのである。

あー、忘れたいぼちぼち。