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中野京子監修 「怖い絵展」の目玉、「レディ・ジェーン・グレイの処刑」(1833年)は251.0×302.0㎝の大きな絵で、混んでいると噂されている展覧会でも、大きすぎるため、この絵はゆっくりと何度も近寄ってみることができました。

 

8時に並んだ私の感想です。たぶん行列のトップは7時に来ていると思いますが、寒いし、いろんなコストを考えたら8時上等ですわ。

あ、オープンが9時になっているので、会期中に見ようという方はご注意を…。

 

ちなみにチケットは前もって買っておかないと泣きを見るで!とご存知の方はご存知かもしれませんが、お伝えしておきます。仲間と来ていた若い人は、一走りしてコンビニでチケットを買ってきていましたが、会場のチケット販売を待って並んでいたら大変なことになるもよう。

 

私はもちろん、息子の障害手帳でどこでもファストパス状態です。

この「怖い絵展」はそんな息子が見たいというので来たというところもあります。

 

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大きな絵なのに、細部まで丹念に筆か重ねられていて、手フェチの私にはこのジェーン・グレイの手の白さ、爪の艶、皮膚のしっとりしたやわらかさがたまらず、見とれてしまって…。

 

 

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会場の大きな絵の前にたってはじめて、侍女がこの「九日間の女王」のネックレスを手にしていたことを知りました。

 

シルクの白いドレスの上にはオレンジ色のローブを纏い、豪華なネックレスをかけていたのでしょう。それらを外したジェーン・グレイはまるで花嫁の白無垢やウェディングドレスのような、といいたいところですが、日本の私たちからしたら白は白無垢であると同時に死装束の色でもあるため、この白いドレスに白い布で顔を覆った女性は生きながら幽霊のように見えておそろしいのかもしれません。

 

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司祭に導かれて首を台の上に置き、血を吸わせる藁が敷かれてあると、仔細に見て行けば彼女の来歴も気になります。

 

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毎回迷って買ったり買わなかったりする図録ですが、最近は、迷うのもまた人生じゃと開き直っています。迷いなく、ということに憧れもするのですが、迷うことの楽しみみたいなものも捨てるのは惜しい気がします。


今回はロンドン塔今昔ともいうべき解説があり、大きな図版とともに買ってよかった!です。


まあ性格的につねに、買ってよかった、出会えてよかった、生まれてきてラッキーと思っちゃうんですけど。

 

 

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解説の中で漱石の『倫敦塔』にも言及があったので、40年ぶりくらいで読んでみました。

安野光雅さんのカバーでうれしい。

『明暗』や『坊っちゃん』はよく読み返したのですが、『倫敦塔』は漢語混じりで読みにくいなあと思ったようで、ずっと読み返していませんでした(笑)。ダメじゃん。

くだんのジェーン・グレイについては、

新潮文庫の28P〜29Pについて、英国史にふれたことのあるものなら、ジェーン・グレーの名を知らぬ者はあるまいと、その儚い生涯に同情を寄せている。

この絵は数奇な運命を辿り、テムズ川の大洪水があった時に修復を後回しにされたきり、忘れられていた時期があったものを、奇跡的に発見され、大修復を経て日本の私たちの前に姿を見せたのでした。

修復で蘇る過程の画像もあって、ジャンルは違っても、絵の大きさと所在不明から発見の経緯など、岡田美術館の《深川の雪》を思い出しました。

 

 

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ロンドン塔から『リチャード三世』も連想して、

高校時代、世界史を一夜漬けで切り抜けたのは失敗だったかな〜とじわじわ反省するんでした。

ま、いっか!