ラジオを1日18時間くらい聴いている。


ラジオから溢れてきた、生前退位について、人は自分の人生を元号とともに認識している、という言葉がなんか気に入ってしまった。だから人生を振り返った時に元号がそれにふさわしいものでなければというような内容だったと思う。


私の場合、昭和は25歳で終わったので、人生の子ども・青春期という感じだ。あんまり青春♡、というような感じじゃない20代前半までだったが、


鬱屈も孤独も青春期って感じだ。


平成期は25歳から55歳までということになると、青年期から壮年期って感じかなあ。


昔、国語の授業で「壮年」という言葉が出てきて、クラスのほとんどが壮年=20〜30代と思い込んでいたので、先生は生徒たちの父親の年代を聞いたのである。中2のクラスで30代の父は私だけだった。


先生は短気で辞書を引けが口癖だったが、この件については、父親の年齢から考えれば壮年がせいぜい30歳までと思うのも無理はないと思ったらしくカミナリは落ちず、壮年は50代くらいまでを含むのだと教えられたのだった。



ところで私の隣の転校生は30代でも40代でも50代でも手を挙げなかった。


「うちの父親、何歳だと思う?」

「さあ…」

「70歳」


まさか、と当時の私は思った。なぜなら、私の祖父が60代だったからだ。幼い頃からむやみに人に揶揄われるタイプだったので、また揶揄って、とさえ思った。


授業中にやたらと話しかけてくる転校生は、成績がものすごくよかった。というより頭がよかった。それは次第に、というより2学期の中間テストではっきりしたのだが、その後もピアノが上手かったり、転校する前は髪が腰まであったとか、謎の発言は続いたのである。


いま思えば、私はぼやっとしているので、話しやすかっただけかもしれない。彼女がなに一つ嘘をついていないこともわかってきた。彼女の家を訪ねたのである。お父さん(70歳)もお母さん(45歳)もいて、お昼にカレーライスをご馳走になり、期末試験前だったのだが、ふたりともほとんど勉強はせず、あっという間に帰る時間になり、不思議な気分で帰宅した。宇宙人にさらわれた時間という感じだった。



なぜご両親の歳を知っているかといえば、それも彼女が話したからである。どういうつもりなのか、やはり授業中に、


「うちに定期300万円、オレの名義で貯金がある」(一人称がぼくとかオレという女の子は取り立てて奇異でもなかった)と言ったこともあった。貧乏人めが!という威張る感じでも、あなただけに話すけど、というヒソヒソした話柄でもなく、唐突に300万円である。


授業中だけではない。


テスト中でさえ彼女はおしゃべりをしてくるのであった。もちろん答案を裏返して、その裏の白紙部分に落書きをしながらのフリートークだが、これは周りの女子にものすごく嫌われた。出来るからってなによ!みたいな感じだ。出来るのは彼女なんだが、不平不満は私にぶつけられるのである。でもわかる。彼女は非難されても、「だから?」と平気で言い返すし睨むと怖いので言いやすい私に言うのであろう。


というようなことを壮年という言葉を耳にすると反射的に思い出してしまう。


壮年期の次は老年でいいのかなと思っていま調べたらやはり老年期だった。


次の年号は私の老年期と重なるんだなあ。