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中学時代から佐藤愛子さんのエッセイと小説を読んできました。

中学時代はお嬢さんの響子さんと年齢があまり変わらないので、響子さんの気持ちで読んで…いませんでした。

年齢は上なのに、どーしても佐藤愛子に共感してしまう。

まさか40年後に中学生の子ども(こちらは息子だが)と二人暮らしで、お小遣いをめぐる攻防があったり、子どもの話を聞くのがおもしろかったり、しているとは…。いま読み返したら、もっと共感しそう。

しかしわからんもんです。結婚はしても子どもはいらんしと思ってました。

いま結婚していなくて(離婚した)子どもがいるという、想定していたのと全然ちがう未来にいる。

中学生で経験値が低くても、べつに小説をよむのに障害ではない。でも、離婚したり子どもを育てたりしたからというより、

ただ50年以上生きてきて、

昔読んだ小説もエッセイも近年の作品も、昔より沁みるなー刺さるなーと思う。

文学の友達や先輩との交遊の中で、遠藤周作や北杜夫、色川武大、川上宗薫との付き合いなどが特におもしろかった。川上宗薫は読んだことがないけど、昔から佐藤愛子のエッセイで弟分みたいな関係で、そんなことじゃダメでしょみたいに叱責されてショボンとしてもまた電話してくる、そんな付き合いのように思っていた。

遠藤周作が最初は作家というより評論で一目置かれていたことも知らなかった。川上宗薫にはいつでも気安く電話をかけられるけど遠藤周作には文学の先輩だという意識があって、そこまでフランクではなかったみたい。

川上宗薫が亡くなった時に、痛みに耐え泣き言は言わず、死に際の端然とした姿をエッセイに書いていて、それは覚えていたんだけど、水上勉の逆鱗に触れた事件は知らなかったので(水上勉は『土を喰う日々』という精進料理のカラー文庫だけ愛読した。あとは知らない)、

そのうち読んでみようと思った。
あと、池田理代子の『おにいさまへ…』に出て来る、「エロ作家の娘」と自ら口にする美少女のパパのモデルは川上宗薫だったのかなーとも思った。もともとは純文学を志していて、生活のためにエロ作家になり裕福になったけれど、というあたりが。モデルの一人くらいの感じだと思うけど。

文学の仲間との付き合いでは、文学の師に、あなたは平林たい子になれ、と言われたというエピソードがおもしろかった。平林たい子は夫の浮気に拳が腫れるほど殴り怒りをむき出しにした姿で記者会見をひらき、その激しさとともに、文学上の激しい議論を交わしても、つぎの瞬間には相手に気さくに声をかける根に持たないさっぱりしたところがあったそうで、佐藤愛子の師はああなれ、というわけです。

平林たい子も読んでないなあ。読もう。

佐藤愛子がラジオに出て視聴者からの悩みに答える、という番組がこの五月にあって、声も醸し出す雰囲気も穏やかで、「戦いすんで日が暮れて」というタイトルを思い出したりする。