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NO-MAコレクション Part2+新作展「魲万里絵 遠くて近い私の風景」

会期:2016年6月18日(土)~8月21日(日)
開館時間:11:00~17:00

休館日:月曜日(祝祭日の場合は翌日休館)
観覧料:一般300円(250円)高大生250円(200円) ※中学生以下、障害のある方と付添者1名無料 ※()内は20名以上の団体料金

館内は撮影禁止なので、外の写真を撮り、館内スケッチ(?)に勤しんだ私である。

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このまわりの家並みの絵になるなあ〜と思っていたら、

近江八幡市の伝統的建造物群保存地区の永原町

でした。このおうちは築80年の町家「野間」家で、京風数寄屋造りだそうです。

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私の家もあと20年すれば築80年ですが、都市計画で道路幅を広げる邪魔ものとして追いやられそう。

そう言えば、駅までの道はどこも道幅が狭かったな。保存のために拡張工事を行わないのだと思う。


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この庭の佇まいからして、心惹かれる。
何気なく見ていたら、庭石に混じって陶の作品がひとつあった。

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展示は2階にもあって、

「魲万里絵 遠くて近い私の風景」のタイトルに重ねて、窓からの風景も楽しめたのでした。

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(2階 Chapter4 遠くて近い私の風景 )

1階の展示は、2007年から2016年の制作の軌跡を展開したもので、アルバムを見ているみたいでした。

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階段の踊り場には、魲万里絵さんの手になるぬいぐるみが展示されていて、

プレゼントのラッピングに使われたガラス瓶も一緒に展示されたり、瓶にぬいぐるみが入っていたりして、
これはポストカードの写真ですが、愛くるしいと思った。やわらかそうだから?

11体つくったぬいぐるみのうち最初の2体は自分のためにつくり、残りはお友達のためにつくったもので、透明な空き瓶ときれいな包装紙でラッピングしてプレゼントされたそうです。

この子はマーカーの黒が目立つけれど、全体に白い布地に細い黒のマーカーが繊細な刺繍のようで、キャラクターたちは絵の中からやってきたのに、nファブリックになると雰囲気がやわらかくあどけなくなるようだった。サイズも空き瓶サイズなので、手のひらくらい。

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「太夫浜プロパガンダ」(2008)

これがポストカードになっていたらいいな〜という作品に限ってポストカードにならない説(笑)。私がいいな〜と思ったのはピンクやオレンジ赤、紫翠の派手で明るい色彩のやつだったんですが、魲万里絵コーナーにはなかった。

前に見たときは、絵の形というか、乳房やハサミや下肢だけがうごめいているものや謎の体液や女性器やそこから出てくるものとか、そういうところにしか目がいかなかったけれど、

今回は形や色も見るけれど、もっとミクロな色や形を構成している細い模様やドットに注目してしまいます。

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ポストカードも図録も、ナマで見る絵の明るい色彩や細かい模様やドットを再現はできないのですが、もしこの画面を埋めつくす点々やうねうねした模様がスクリーントーンだったら、

魲万里絵の時間を感じることはできないなあと。

一枚一枚の絵のドットや模様をできるだけ丁寧に読み取ってみると、絵を描く時間と空間が自分にも少しは感じられるんじゃないかと思いました。

「キケイキケイキケー」
「数には入れない」
「滅亡一家」
「ヒトノアシモトスクウヤツ」
「馬鹿女ざまあかんかん」
「月に中のオガクズやら、丸太やら」
「人に見えぬぞよき」

それにしてもいずれも秀逸なタイトルで、よくこんなタイトルを思いつくなあと思っていたら、Chapter3の解説にそのことが書かれてありました。

「メメントモリ」がつくタイトルの作品が展示された部屋で、「そんな所で何をしているメメントモリ」「泥の中のメメントモリ」「メメントモリ表裏一体」、6つの連作のなかには「メメント盛」もあって吹き出しました。どんなメメントモリだよ!

キャプションによれば、作品の完成後5〜10分ほどでタイトルがつ けられるそうです。

思いつきや頭の中に留めおいた記憶、気になる誰かの発言、詩集やおとぎ話などが基になっているけれど、タイトルと絵の間には直接的な結びつきはない。メメントモリについては魲万里絵さんがキリスト教系の高校に通っていて「泥の中から蓮の花咲く」という言葉が学び舎にあって、そこからとったそうです。

私は「泥の中から蓮の花咲く」と言ったら山田洋次監督の有名なシリーズのテーマを連想しますが、

ベッドの裏板に水性ペンと油性ペンで描かれた作品は当然ながらキリスト教も寅さんも関係ないのでした。

ベッドの裏板に限らず、スケッチブックの表紙の厚紙を利用してリバーシブルのミニ屏風に仕立てられている作品もあったのですが、とにかくモノを大切にスミズミまで利用したいのらしい。

私はこのスミズミまで絵を描く(魲さんは小さなスケッチブックを持ち歩いているそうで、その展示もあったのですが、スケッチって次元じゃなかった。もうスケッチじゃなくて本番)、モノを捨てないで再利用するという部分にユーモアを感じてしまいます。

モノを大切にするという美徳の中に、捨てても構わないモノのなかにほかの人には見えない可能性が見えるんだろうなあと。

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もらってきた機関紙「野間の間」(A2を二つ折りにしたサイズ)にKBS京都ラジオ「Glow〜生きることが光になる〜」を再構成した記事がありました。

印象的なエピソードは幼稚園時代、みんなでクッキーを作りましょう、と言われて昔から丸より三角が好きだった魲さんが三角にしてみたら、先生に叱られたというもの。その当時からなんとなく生きづらさを感じていたという。

また作品の1点1点に「思い入れ」ならぬ「思い出」があるという発言も興味深く惹かれる。作品には描いている間に起こったことの記憶がぎっしり詰まっている。

この機関紙(でいいのかな)は無料ですが、もらってきてよかったです。この記事を読んでからもう一度見たら、また違う楽しみ方が出来るんだろうけど、残念ながら私は岩手在住(笑)。

もう2度とここに来ることはないだろうと思うと、近江八幡の風景も瓦屋根も駅も、みんな愛しい感じがするのだった。

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タクシーの運転手さんに昔ながらの瓦屋根にするひともいなくなり瓦職人もだんだん減っているというお話を聞く。

近江八幡というと白っぽい瓦屋根と幅の狭い道と日焼けした小学生と、やわらかな関西訛りを思い出す気がする。

ではでは♪