水木しげる漫画大全集第2期、『ガロ』掲載作品ということで、当時アシスタントだった池上遼一さんが先生の思い出を語っています。
当時のアシスタントたちとの修羅場は水木さんのマンガにもなっているのですが、
若く、つげ義春さんの崇拝者だった池上さんが、そのつげさんに対し傍若無人な振舞をするアシスタントに意見するところがあり、タバコばっかりふかしていて図々しいアシスタント、繊細なつげさん、締め切りに追われ続ける水木しげるという人物たちが生き生き描かれています。
池上遼一さんの視点からみた水木先生は、教養高い家庭に生まれた育ちのよさがあり、
戦争で死ぬような体験をしてきた怖いものなしの凄みがあり、繊細さと磊落さが同居している不思議な方、とよくわかってらっしゃる!と同時に池上遼一さんにもそういうところがあるんじゃないかと想像したりします。
毎日3、4時間しか眠れず、締め切り前は徹夜続きの仕事場に「無為に過ごす」と書いて貼ってあるというのも水木先生だなあと。
「なまけものになりなさい」と同じ発想だと思います。
水木さんが十代の頃に描いていた「アンデルセン童話」の水彩画を思わせる作風です。
また、水木しげるによる漫画の描き方などエッセイも採録されているのですが、
「早くうまくなる方法は一に努力二に努力三に努力と知るべきなり」という言葉も、水木さんの人生を照らし合わせると、才能の塊みたいな人が努力し続けたその精神にあらためて敬服せざるを得ない。