きょう、

松本竣介・舟越保武室の解説のあと、

宮城県からいらしたお客様に、二十六聖人像について尋ねられました。

(余談だが私は解説ボランティアの予定表をつくる仕事を引き継いだ初期、舟越・松本室と入力してしまったことがあります。ふたりは同級生ですが、舟越さんの方が長生きしたので、なんとなく年長者の感じがあるから…わかっていただけるでしょうか。誕生日は竣介が4月19日、舟越さんが12月7日なので、誕生日順?あまりにささやかな疑問なので学芸員さんのコレクショントークに何回参加しても流石の私もためらっているのである。でもいつか聞いてみます)

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岩手県立美術館所蔵の「二十六聖人像」のうちの四聖人像の材質はFEPです。

ブロンズ像は石膏で型を取るのですが、おなじ型から何点か作るんですね。もちろん最初の方に型を取ったものの方がいいわけで、何十も取ったりはしませんが、

そこがわからないと、あれれ?ロダンの彫刻がここにもあったぞ?ほかの美術館でも見たけどなんで? と思う…思いませんかみなさま。

森茉莉の『贅沢貧乏』のなかに、茉莉と葉子(萩原朔太郎の長女、作家、エッセイスト)がロダンの彫刻を前に、これは小さいからレプリカじゃないの?などということを言いつつ確信は持てずあやふやな会話をしている箇所があるのですが、


いやその気持ちはよくわかる。
私もか「アートの森霧島」で野外彫刻のギャラリトークに参加するまで、彫刻はすべて一点ものだと思っていました。


で、型取りしたその石膏の型をずーっと取っておいてもでしょ。

ブロンズ像が何点かできたら石膏の型は壊すそうです。ただ、二十六聖人像の型のうち、四体が残っていたので、FEPで型取りをした、それを舟越さんの奥様から美術館へ寄贈していただいたのです。



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長崎の西坂公園の「二十六聖人像」は去年の夏に見に行きました。

私が見てもそのことになんの意味があるんだろう?


と趣味自虐の私は思っていたのですが、実際に見るとけっこう高い位置にあって、こんなによくは見られないんですけどね、ということを実感としてお話しできてよかったです。

私の経験は私には役に立たないかもしれないけれども誰かの役に立てる日もあるわけで…。

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宮城県からおいでになったそのお客様は、宮城県美術館の佐藤忠良記念館の彫刻もよくご覧になっているわけですが、

末森千枝子さんの絵本をご覧になって、岩手県立美術館には末森千枝子さんのお父さんの彫刻があると知っておいでになったそうでした。佐藤忠良さんと舟越保武さんがお友達であることも、忠良さんがシベリア抑留の体験をしたこともよくご存知で、

岩手県立美術館には忠良さんの作品はないのだけれど、

高松公園には、「平和の礎」という向日葵を抱いた女の子の彫刻が、シベリア抑留記念碑とともありますよ、



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とお伝えできてよかったです。

末森千枝子さんの絵本を読んだこと、佐藤忠良さんの彫刻と「おおきなかぶ」の原画ももちろんご覧になっていて、きょうはいろんなことがつながりました、とおっしゃって、その言葉がうれしかったし、私もいろんなことがつながっていく嬉しさはよくわかるので、共感しました。

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高松の池は私がいちばんすきな盛岡かもしれません。ここに佐藤忠良さんの彫刻があることも知っていてよかったと思いました。