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森村桂さんって、いまの若い人わかるかな。

私が19歳の時、原田知世ちゃんが角川映画「天国に一番近い島」で主演していたなあ。私は中学時代から可愛い女の子に目がなくて、
角川3人娘では薬師丸ひろ子さんがもちろんダントツでいい!と思っていたんですが、

当時は2本立てがふつうだったので、ひろ子ちゃんの「探偵物語」と知世ちゃんの「時をかける少女」がセットされていた…ような気がする。

私が「天国に一番近い島」などの森村さんの作品を読んでいたのは小学校高学年から中学生で、ちょうど天火オーブンを買ってもらって、でもお小遣いでケーキをや焼くわけで、バターが買えないとか、型が高いとか、私とまるっきりおなじ悩みを抱えた女の子が描かれているところに共感していたのですが、

この『森村桂アメリカへ行く』は、70年代前半のアメリカ旅行記として、いろんな意味で興味深いです。

森村さんが人気を博したのは、のびのびとした発言と行動力だったのですが、いまだったら、インターネットで炎上とか、差別的だという批判を受けるかもしれない。偏見というか、自分の見聞きしたことだけで、全体をまとめようとするところがあって、ハラハラさせられもするのですが、

70年代でまだ海外旅行をするひとも少なかった時代でもあり、女性の社会的地位も考えられないくらい低い時代に、自分の力でアメリカに行く森村さんは憧れの的だったのかもしれません。

私が森村さんの本を集めたのは、40代後半になってからですが、それは単なるノスタルジアではなくて、モラルハラスメント離婚について調べていて、ふと、森村さんのことを思い出したからでした。

しかし、『森村桂アメリカへ行く』をきのう、段ボールから引っ張り出して読んだのは、ちがう本を探していたんですが、あ、NYもでてくるかな、という旅行ガイドをよむような気持ちからでして。


NYでは自由の女神を「おじさん」呼ばわり(片腕を掲げたおじさんにしか見えないという)し、マンハッタンをあるき、ハーレムでは白人の知り合いから聞かされる話に考え込んでしまう。ホームシックになったり、アメリカの主婦の仕事について、その合理化に感心したり、スーパーの大きさに感動したり。


しかし、森村桂といえばお菓子。当時森村さんは技術なしでふわふわのケーキが焼ける、「ケーキミックス」に魅了されており、アメリカで輸入なみに大量のケーキミックスを買ってほくほく帰ってきたら、もはや日本のスーパーでもケーキミックスが売られていたのだった、というオチがつくのであった。

このあと、パリへ行って、フランスの粉はふるわなくてもダマにならないし、なにをつくっても上手に焼ける、とフランスの粉命になるのですが、

ケーキミックスを大量に買い込んできたころの森村さんが、私はすきだったよなあと思い出したんでした。