{5E3B3B56-5DF7-4C58-9517-A297012512BD:01}

 ニューヨーク近代美術館、MoMAの看板が鏡面コピーで、
図形みたいでおもしろい。

NYに自分が行けるなんて、考えても見ませんでした。
きのう、「マルコポロリ!」のロケウラ話を書いていて、あー、あのロケの後、
京都まで繰り出して、気になっていた美術展を見たし、翌日はアサヒビール大山崎山荘美術館に行って、浮世離れした気分を味わったなあと思い出して、はじめて大食い王の大会に行ったときのことも思い出した。

えーと、あれは2006年だから、43歳か。43歳まで国内線でさえヒコーキに乗ったことのなかった私が、よくひとりでヒコーキを予約して、札幌までひとりで行ったなあ。
(ホテルは番組が用意してくれたんだったと思う)

はじめて大食い王に出た時は、

負けたら交通費・宿泊費を請求されたり、ものすごく怒られるのでは!
と思って緊張しまくりでした。なんでそんなことを妄想するのか、と友達にも笑われましたけどね。

だって、宿泊費交通費、おまけに地方予選の賞金(たしか地方選いくら、東京本選いくら、という規定があった気がする~いまどうなっているかわからないけど)までもらえるなんて、

そんなうまい話があるわけないでしょ!という疑いというより、ビクビクした気持ち。誰だって私とおなじ立場になればそう思うんじゃないか。それとも私が人並み外れて怖がりなだけか。

ホテルについても、まだ騙されているのでは~と不安でいっぱい。
その夜、制作会社とテレビ番組のプロデューサーのおふたりが挨拶にいらして、こんなにちゃんと挨拶してくれるなら、ああ、騙されていてももういいや、と思ったです(それでもまだ負けたら怒られるのでは~と思っていた)。

その後、何十回というテレビ出演を経て現在に至る。何十回…すくなくとも1桁じゃないし3桁にはなってない気がするからこれでいい。

もう、ロケの場所と日程を聞いたら、ひとりでホテルも交通手段も調べて、
準備できる。iPhoneをふつうにいじって、ホテルを予約しつつ、LINEで送られてきた資料を確認する、なんてことをやっているときに、

わたし、ずいぶん遠くまできちゃった!!

とぼーぜんとする。

札幌予選ではせいぜい、本屋さんで佐々木倫子の『月舘の殺人』(札幌だなあ~と感動したのは平積みでどーんと置いてあったこと)と『大食いたちの宴』を買ったくらい。もし、いまの私が札幌でしごとだ、と呼ばれたら、まず間違いなく、北海道立近代美術館にいくだろうなあ。あとはロケちかくのパブリックアートを調べて見逃さないようにするかな。

東京本選のときは、札幌予選から1週間しか経っていないのに、もうひとが変わっていた(笑)。

よし、優勝したら帰りは渋谷に寄って、Bunkamura ザ・ミュージアムで「スーパー・エッシャー展」だ!と思ってその通りにした(笑)。なんだろう、たった1週間で自分がすごく変わったなあ、と思ったのを覚えている。

勝つとエネルギッシュになれるんですよね。
エネルギッシュだから勝を獲れるんじゃなくて、勝ったということ、優勝したということが
ひとを変えるんだと思う。

その後、ロケと言われれば、その土地の美術展を検索するようになり、大食いのおかげで、
どれだけの美術展をみることができたんだろう。大食い王だけじゃなくて、ほとんどのロケには
美術展をパッケージしてきました。

ほんとうにおかげさまであります。

というわけで、NYで大食い世界戦というものをやる、それに出る、ということになり、
スケジュールをもらったあたりで思った。

MoMAに行く!

ということで、NYの撮影予備日として取って会ったと思われる、フリーデー2日目、
私はMoMAに入りました。

みんなはそれぞれすきなことをしたり、ウィンドウショッピングをしたりしていたと思われる。
ひとりになって、ひとりで見てきたんでした。


{A2519952-64D2-4039-8FAE-25897215109C:01}

クリムトの絵は昔からすきだったので、
MoMAにもクリムトの絵があって、うれしかった。
絵の背景を知ったのは、「黄金のアデーレ 名画の帰還」を見てからでした。

この絵は、「アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像 Ⅱ」

{331BF37B-38E5-40AC-AB0F-FF54717C23C3:01}
映画の「アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像 I」の5年後に描かれています。

{43E021D0-9219-43FF-97AB-F35068DE2DFF:01}

こちらもクリムトでした。

MoMAで見たときは、クリムトにしてはずいぶん地味だなー。ちょっとポスト印象派っぽい、
と思ったのですが、なぜか忘れられなくて。

この絵も映画の中に出てきました。
びっくりしちゃった。

タイトルは「公園」。ふたつの「アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像」の間に描かれたものです。

{93DFB1FF-1977-4825-A2F5-764B18882037:01}

シャガールの「私の村」。

MoMAにあるってことは、日本で見た記憶はあれはなんだろう?

と思ったら、やっぱり日本にもありましたよ、「私の村」。
ポーラ美術館に所蔵されていました。

ニューヨーク近代美術館所蔵の「私と村」(1911年)を再制作したものということです。

ポーラ美術館のシャガールとMoMAのシャガール、両方見たなんて、
いやそんなひとはザラにいると思うが、これって私のことなの?
というめまいのような感じ。

(自己評価が低いと言ってはいけない。52歳の私の子どものころなんて、
海外旅行というのはまったく手の届かない世界だったのだ)

{000C05DA-FBCA-483F-AC43-47498830B522:01}

アンリ・ルソーもこの数年ですきになった画家で、この絵だけはまだ見たことがなかった。
少し前に「オルセー美術館展」で、「戦争」を見てすっかり虜になり、あちこちで、2、3点ずつ見てきたんですが、この「夢」はなかなか見られない作品だったのでうれしい。


{B0E7F183-B235-49D5-85FC-9EF00A481936:01}

{D57FFBA4-8FF1-4CE5-9180-5F533E8A11B5:01}

「FOUJITA」でモンパルナスの蜂の巣で狂乱の夜を過ごす藤田とエコール・ド・パリの芸術家たち。


ピカソは登場はしないんだけど、ピカソの洗濯船に行ったよ、というセリフがあって、
あーーーー、私、出てくる画家や彫刻家の名前も作品も全部わかる、と思ってびっくりした。
いつのまにこんなところまで来ちゃったんだろう、と思った。

大食い世界戦の前の壮行会から、MAX鈴木こと、鈴木さんが、いつも腹の底から、おれ夢だったんですよ、と唸るように言っていて、それが忘れられないのだが、
私もまるで夢のようだと思うことばっかりです。

たかが、
ひとより、
ちょっと
多くたべられるだけなのに、


こんなところまで来ちゃって、という驚きと感慨はつねに、いまでもあるし、これからも消えることはないと思う。

大食い世界戦とはどんどこ離れた話になってしまったなあ。

でもこれも私なので、のせちゃえ。
あくまで私からみた世界を書いているのだから。