さっき、ツタヤ書店の屋上パーキング近くで、ガチャポンを見ていた息子を俯瞰で撮った。
俯瞰で撮るとコンパクトになるね。
会う人ごとに大きくなったね、と言われる息子だけど、
まだまだ幼い。
こちらは少しかがんで、見上げる角度で撮った。
こんな小顔じゃないよ。
…きのう、息子の希望でドンキホーテに寄った。
こちらも掘り出し物の食材やメイク落としを買ったり、カラコンが通販じゃなくて売っているとわかったりで、無理して息子に付き合ったわけでもなく、自分も楽しかった。
はずなんですが、買い物を終えて帰ろうとして、息子がいなくなっている。
またか!
呼んでもすぐに出てこないので、イライラ。
おもちゃコーナーにいたんだけど、その後クルマまで戻って、私がなにか考えていたところに息子が話しかけてきて、爆発!
あんたが行きたいというからドンキホーテに来たんじゃない!それなのにもう帰るというのにいなくなって!
いまはいまでお母さんが考えごとしていたのになんで、ぎゃあぎゃあ言うの!
(息子は低音になってきたのでぎゃあぎゃあではない。ぎゃあぎゃあは私の方である)
だいたい、ずっとどこでもiPhoneをいじってて、すごく恥ずかしかった!あんたなんかいなくなればいい!
…なぜそこまで言っちゃうのか。それは人前でずーっとガマンしていたからですよ。小出しに怒りたい。が、きのうの息子はものすごく機嫌が悪かったので、
鼻に指をつっこまないで、手の匂いをクンクン嗅ぎ続けないで、
と当然の注意でも言ったら、絶対暴れる。態度が悪化する。だから知らん顔するのが最善なんである。しかし内面は燃えたぎっているのである。
つくづくガマンってダメね!
最後には噴火するもんね!
というわけで、ガマンしていた分、言わなくていいことまで怒鳴って、
気は済んだか。いえ、言い過ぎたなと思うだけで爽快になんかならない。
で、家に着いたら、バッとクルマから飛び出して、速足でどこかへ行っちゃうじゃないですか。
「帰ってきなさーい」「戻れ!」
と叫んでいるのもご近所迷惑だから、走って追いかけましたよ。しかし、すぐに見失う。
しばらく道なりに歩いて探したのち、クルマで息子探しの旅。コンビニ。ドンキホーテ。店から店へ。
絶対危険なことはしていないはずだと思う。クルマに飛び込むとか、川に落ちるとかではないはずだ。と思いたいだけかもしれないが、いままでにもいなくなった息子が結局旅先のホテルに戻っていたり、警察に自ら出頭していたりしたのだ。
(息子と私の歴史は、『ぼく逃げちゃうよ』のお母さんウサギと息子ウサギのようなもので、つねに追うものと逃げるものの関係である)
時々iPad にFaceTimeで連絡する。家に戻っていれば息子は絶対iPadをいじっているはずだからだ。
息子がいなくなって1時間後、7回目のFaceTimeで息子が出た。画面に息子が映ってホッとする。
「お母さん、ぼくこの家にいてもいい?」
うっ。
胸がつまって痛い。わ、私が悪かった。言いすぎた。許してくれ。
家に帰って、買ってきたマクドナルドのポテトLサイズをふたりでつまみながら話を聞いたら、
はじめ公園に行って、ふさふさの雪を踏んで遊んでいたそうだ。
ふさふさ?
ふさふさ。
ふかふかじゃない?
うーん、ふさふさ。
大手ドラッグストアのパーキングに除雪車が寄せた高い雪の山があったので、
そこにかまくらを掘ってねぐらにしようと思ったけど、もう帰ろうかなと思って帰ってきた、
というのが息子の1時間だった。
お母さんに怒られたら嫌だなとか思わなかった?
ううん。夜でも真っ暗じゃないから歩いていたら楽しくなった。
だそうである。
息子は前みたいに、泣きじゃくってかかってくることはなくなった。
黙り込んだり、玄関に走って行ったりする。
でも1時間近く探したのはかなり久しぶりだった。
息子が5、6歳までは始終いなくなった。保育園じゃない日はとにかく何の前触れもなく消えるのである。
目を離すなというのは、目を離してもいなくならない子しか知らないにんげんの戯言だと思った。3分でものすごく遠くまで行っちゃってるのである。SCであれば警備員さん、家からいなくなれば警察に、どんだけお世話になったか。
私も子どもがいなくなったというのは、嫌なのだ。またあの子かと思われるんだろうなあ~と。
一度県外で、その子は障害がありますか?と警察官に聞かれて、迷子探しを頼むのが非常に億劫になったこともある。障がいがある子ならなぜもっとちゃんと見ていなかったんですか、という非難を感じたのである。
この気持ちは長年息子のことで頭を下げ続けた私にしかわからない。私は息子が生まれてから、人は絶対分かり合えないものだと気付いた。
だから1mm距離を縮めるために話す。わかろうとする。でも分かり合えないんだ、と思い続けている。安易にわかってもらっているなんて考えるのは、怠慢である。
息子には今後なにがあっても、自分はそこまで悪くないと思え、と言って、
とにかく家から飛び出すのだけはやめて、部屋に閉じこもっても、口を利かなくてもいいから、家にいなさい、と言った。
お母さんはやつあたりしていただけだと謝った。
息子はいつもすぐ許してくれる。
でも昨日のことは忘れないように、私が私を許さないようにしようと思った。