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1月23日(土)の「~父、舟越保武を語る~末盛千枝子 トークディナー」の中で、

印象に残ったことを書いておこうと思います。

あ、このイベントは美術館友の会企画係のみなさんが立案なさったもので、美術館友の会に
入っていると特典はいろいろありますが、こういうイベントのお知らせをいただけるのも大きいです。

ピンク色のきらきらひかる大理石は、紅霰という石で、非常に彫りにくい、硬い石だったそうです。

私は前から、頬というか顎のあたりにある、黒い汚れのようなものが気になっていました。
「隕石」というタイトルもこれだ、という解釈がみつからない、謎めいた作品だなあと思って、
いちばん心惹かれる作品なのですが。

黒い汚れは大理石の天然の縞模様だったそうです。

この「隕石」はそのままですが、

子どもの頃、お父さまである舟越保武さんが頼まれた彫刻を彫っていると、
子どもたちはあれが新しい靴になるのかな、などとワクワク完成を待っていたそうです。

が、ある日学校から帰ってくると、お母さまから、

「縞が出ちゃったのよ」

という残念なお言葉が…。子どもたちはガッカリ。縞が出たものは、依頼主に出せないからです。そしてその縞がいつ出てくるかは最後までわからない…。硬い大理石を彫る苦労は、コンクリートをガツガツやったことがあるので(たぶんなにかの現場)ある程度想像がつくのですが、

そんなに苦労して完成に近づいた彫刻にある日予告もなく縞があらわれた時のショックは想像もできません。

この「隕石」の縞をみるたびに、これからは縞が出てきたときの一家の落胆を思い起こすと思います。

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独学で彫刻家を志し、次第に世に知られ、「日本二十六聖人像」をはじめとする、
キリスト教をモチーフとした作品の数々でその存在を確かなものとした舟越さんですが、

75歳で脳梗塞に斃れます。

その時の千枝子さんの慟哭とお母様の、
「お父さんはこれで終わりじゃない」と言い切った強さに
打たれます。

次男で彫刻家の桂さんが絶賛しているのが、
半身不随となってからのこの「ゴルゴダ」だそうです。

いつか桂さんも「ゴルゴダ」のような作品をつくるのかもしれないなあと想像したりしました。

千枝子さんのお話はとても親しみやすく、情景が浮かんでくるものでした。

絵を見たり、本を読んだりした感想を口にするときも、父・舟越保武に認められるような
ことを言わなければ、というプレッシャーを感じていたという言葉も印象深かったです。



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美術館のレストラン パティオでのディナーでも、気さくにお話をしていただいて、
笑顔がやっぱり舟越保武さんに似ているし、桂さんとも似通っているなあ、
と当たり前のことなんですが、そういうことも思いました。


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ディナーのお料理もおいしく、趣向が凝らしてあって楽しいひとときを過ごしました。

美術館のイベントは、友の会の企画もあれば、美術館の企画もあるのですが、
年々、親しみやすい美術館にシフトしてきているような気がします。

ではでは♪