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「黄金のアデーレ 名画の帰還」、

クリムトに興味があって観に行ったのですが、名画の帰還というより、

ナチスのユダヤ人迫害について、改めて考えさせられました。

マリアの家にあった素晴らしい絵画のコレクションも、父のストラディバリウスも、銀の燭台も、ナチスが略奪していったのです。「黄金のアデーレ」のダイヤモンドを鏤めたチョーカーも、全てが奪われ、きょうからナチスの監視下に置くという宣言。

家の前に罵倒の言葉を大きく書かれ、石畳に膝をついて擦り落とそうとする医師の家族。見世物のように取り囲む民衆。



新婚間もないマリアがオペラ歌手である夫とナチスから逃げる場面。街中で追われ、薬局の裏口から逃げ、

(通報する店主と助け舟を出す洗濯女)

階段を駆け上り、石畳を疾走する。

その恐怖が胸を締め付け、逃げ惑う中でも、街中で晒し者にされる同胞たち。髪を切られ、取り囲まれて嘲笑われ、店の戸にユダヤ人と書かされる。罪人のように。

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旅券を求めて並ぶユダヤ人たち。

マリア夫婦も書類を揃えてきたのに、「自分たちは特別だと思っているのか」と冷笑され、撥ね付けられる。やっとの思いで搭乗に漕ぎ着けた時、

出国審査官が荷物を持たない夫婦に疑いの目を向ける。マリアは咄嗟に夫がカラヤン指揮のオペラに急遽代役で出るのだ、といい、審査官は、幸運を祈ります、と通してくれる。吹雪で飛行機が飛び立てない間に、ナチスが搭乗客を呼び出し連行していく。何度もの危機を潜り抜けてマリアは夫とアメリカへ逃げ延びる。

旅券の場面で「杉原千畝」を連想しました。

ドラマや子ども向けの伝記を読んだことはあるけれど、映画も見たいなあと。



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杉原千畝の妻・幸子夫人は遠野が郷里ということから、この記念碑は遠野にあります。

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「グレン・ミラー物語」では、自ら志願兵となったグレン・ミラーと仲間たちが、戦場で兵士たちを音楽で鼓舞する場面がありました。

イギリスで演奏中、空爆があり、一瞬身を伏せたもののすぐに立ち上がり、

「イン・ザ・ムード」を高く強く演奏する場面が印象的です。


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こちらは前から見たいと思っていた、「FOUJITA」。
もう直ぐ盛岡でも上映されます。

藤田嗣治はエコール・ド・パリの寵児として名を馳せた画家ですが、第二次世界大戦中に描いた戦争画について糾弾され、戦後日本を離れフランスに亡命します。

お隣の県の秋田県立美術館には、藤田嗣治のパトロンであった平野政吉が描かせた「秋田の行事」をはじめとする藤田嗣治のコレクションがあり、

映画の中で藤田嗣治と戦争がどのように描かれるのか、語弊がありますが楽しみです。


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そして、井上ひさしの「父と暮らせば」の対として描かれた「母と暮らせば」。

舞台は長崎です。「父と暮らせば」では広島、「木の上の軍隊」は沖縄という三部作の構想だったそうです。

井上ひさしさんは昭和1桁の終わりに生まれていますが、お母さんがお兄さんと建築会社を作って奮闘したのち、なんだかんだあって孤児院に入っています。

弟さんと入った孤児院がフランス人修道士のいるカトリック教会だったことを思い出すと、長崎の教会も出てくるのでは、と想像しています。

(そう、いつもタイトルだけで自分の妄想ストーリーをふくらませて映画館に行くので、


「予想と全然ちがった」

ということになるんです。でも大方予想と全然ちがってすごくよかった!なんですけど。妄想をふくらませる力がある時点で、映画としておもしろいということなんでしょうか。)

「野火」では南方の最前線で彷徨する兵士の飢餓と人間性の奪われていく戦争というものを体感させられました。

べつに戦争を描いた映画を狙って見ているわけではないのですが、見る映画や見たいと思っている映画がみんな戦争に関わる映画になっています。

時期的なものなのか、自分の興味が自然とそっちに向いているのか。

私は映画には躍動感というかスピードやアクションを求めているので、

中距離ランナーを描いた「ミルカ」やベルリンマラソンに往年の金メダリストがチャレンジする「陽だまりハウスででマラソンを」、台湾のチームが甲子園で活躍する「KANO 1931海の向こうの甲子園」を見に行ったのですが、

いずれも戦争を抜きには語れない映画でした。

そしていずれも、もう1度映画館で見たいものばかりです。

終戦後70年は、平和が70年続いているということばかりではなく、

語り継ぐ人がいなくなってしまう前に伝えなくては、ということでもあり、

戦争をモチーフにした映画が上映されるのは自然なのかもしれません。