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『キュリー夫人』エリナー・ドーリイ作 光吉夏弥訳

光吉夏弥さんの児童書の翻訳、すきだったなー。
『ひとまねこざる』『ちびくろ・さんぼ』…。

点訳で『キュリー夫人』をやっているので、ちがう本の中の「キュリー夫人」も気になって。


やっぱり、書く人の視点によって、おなじ史実をつかっていても、ポイントはちがいますね。

こちらの『キュリー夫人』でも、ピエール・キュリーが亡きあと、ソルボンヌ大学で女性ではじめて講義を持つことになったマリが、

大階段の聴衆を前に、
「この十年間になされてた物理学の進歩を考えますと、電気や物質に関するわたしたちの観念が一変したのに、驚かないわけにはいきません…」
と、

ピエールの最後の高等物理学の講義が終わったところから始め、

マリが感動的なことをいうのを聞こうとし、たぶん、とちゅうで泣きくずれてしまうのを
見ようとして集まっていた聴衆を、

学問に対する誠実な研究者のすがたで感動させるシーンが好きだなー。

女性初のソルボンヌ主人教授の就任披露講座には、学生だけではなく、
社交界の人たちも大勢つめかけて聴くことができるようになっていたそうです。


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これは『ゴーギャンとポン=タヴァンの画家たち』の図録から、
クロード=エミール・シュフネッケル、≪ブルターニュの岩石の海岸≫1886

マリが別荘としていたブルターニュについて、こんな描写があるのですが、
まさにこの絵のとおり。


「ピンク色の花崗岩の崖や岩が、青い、すみきった海に伸びていて、無数の島の
暗礁が大西洋の荒波をふせいでいるために、いつもおだやかだった。」

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こちらは、ゴーギャンの《2人のブルターニュ女性のいる風景》。(部分)


「ブルターニュの魚売りの女たちが、風から顔を守るための白いはばの広い、
麻の帽子をかぶって」 と『キュリー夫人』にあるのは、この独特の帽子のことだろう。

ゴーギャンとマリ・キュリー、まったく接点がないように思えていましたが、


≪ゴーギャンとポン=タヴァンの画家たち≫展を見ていなかったら、
特にこの帽子は想像もつかなかったと思われます。


いやー、ほんとうなにがなにに結びついていくのか、わからないね。
知ることに怠惰になったり恐れたりしないで、なんでも興味をもつこと、
好奇心を忘れないことは大切だなーとあたりまえのことだけど、そう思う。