ロケバスに乗り込んで成田へ向かう、10月30日の朝。
佐藤さんが書いているのは誓約書だったかな?
私もクルマで書いたような気がします。
バスの中ではなにを話したか覚えていない。
東京から成田ってこんなにすぐつくもんだっけと思った。
大食い王の旅は食器、優勝カップ、機材、それから私には想像もつかない夥しい、
大切なものを運ぶ旅です。
空港でステーキ皿を見て、ははーん、準決勝はステーキでしょ!
と思わせておいて、
ハンバーグ!とか、選手と制作サイドの攻防戦もあります。
海外戦は人手不足ですから、選手も協力します。
余談ですが、夏に見た《野火》の試写会で、予算のハードルを破るために、監督自ら照明もカメラも役者もやるか、とまで考えたこともある、という衝撃の発言を聞いたことを思い出しました。なんとか予算ができても、海外ロケには最小人数だから、みんばスタッフ兼キャストで、その疲弊が映画にさらなるリアリティをにじませた…というようなことを思い出しました。
試合前や試合後の食器の準備や片付けにカメラさんも応援していたり、そういう場面を見るのがすきだった。
空港で。
佐藤さんの旅慣れた、でもおしゃれなスタイルにも注目。
成田で合流のもえあずちゃん。
ふわふわ、ゆるゆる、もこもこで甘い色が似合います。
おでこが可愛いぞ!
全身コーデを撮らせてもらったぞ!
マスタード色のロングカーディガンと茄子色のショートパンツ、赤のタイツでゆるゆる&タイト、リラックスでもおしゃれな機内ファッション。
ベアがUSAなのがご愛嬌。
もえあずちゃん、空港でキャリーにつめかえるも、閉まらなくて、脚で抑えるの図。
すごい!
なぜこんなおもしろい絵になるんだ!
しかも撮らせてくれるし!
美脚はダンスレッスンのほかに、
gym、
実家にいた時からやっているというヨガの教室で磨き抜かれたもの。
ふわふわしているけれど、努力家で、努力を楽しむノーブルさがある、、、というのは長い旅でだんだん知っていくんですが。
ほっそりしているけど、バネのあるいい腓腹筋やねん♡
カメラさん。
いちばん最初の北海道予選で、丸山さんがこっちを撮ってるなあとぼんやり思っていたのを憶えている。
シロートだからね!
カメラがくると顔をそむけちゃうシロートだからね!
2回戦の前だったか曽根さんに、
「あなたは丸山さんに気に入られてるよ」と言われたのも覚えている。
いちばん食べる人がいちばん映されるとは全然知らなかった頃。
あれから9年ですよ。
成田空港国際線をカツカツ歩くながら決意表明、のシーンは丸山さんが撮ってくれた。
いまの気持ちは、と聞かれてみんな一言ずつ答える。
「チャンピオンが待っているリングに向かう挑戦者の気持ち」
と言ったと思う。
この頃、テンションをあげるために、
「あしたのジョー」
「エースをねらえ!」
「キャプテン」
などスポーツマンガを愛読していたので、
(「アストロ球団」とか「リングにかけろ!」の方向じゃないわけだ)
イメージは、
「世界一の男が俺を待ってるんだ」
と言って、葉子の「好きなのよ!あなたが」を遮ってドアを開けて出て行く矢吹ジョー。
余談だけど、原画展で一度は会場を飛び出した葉子が、自分が始めたことじゃない、見届けないと、
と踵を返して駆けつける横顔を大きく描いた絵が印象に残っている。千葉さん、葉子みたいなキャラクターはきらいだったのに、といろんなものが交錯して立ち尽くした。
荷物が次々空港のカウンターを通っていく。
たぶん、これが最後だな、と思うせいか、こういう場面が非常に印象的に入ってきたのだった。
世界戦で全部絞り出す!
と燃え盛っている一方で、
燠火を静かに見ているようなアンビバレンツな二つの炎がつねにあった気がする。