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広島出身の画家、靉光の絵に出会ったのは3年半くらい前の、

岩手県立美術館の館長講座でした。松本竣介生誕100年の回顧展があり、

松本竣介の仲間たちについてのお話があったんでした。今確認したら、

2012年7月21日(土)でした。

それまで、「靉光」をなんて読むのかもわからなかった。

「あいみつ」でした。


この「目のある風景」をスライドで見て、

日本にもこんな素晴らしいシュールレアリズムの絵を描く画家がいたんだ!と。

その時聴いたお話はほぼ忘れて、この絵をナマで見たい、に集約…。


国立近代美術館で萬鉄五郎の「裸体美人」はけっこういつもお店を張っているが、

靉光さんは古賀春江さんよりさらに登場回数が少なくて、常設展で初めて本物を見た時は大喜びだった。

その後、

岩手県立美術館に
「花・変様」「おこぜ」
が収蔵され、

宮城県美術館の「鳥」も見て、

もっと見たい、と思ったあたりで「靉光展」の図録を入手。近代美術館のギャラリーショップで売っていました。「麻生三郎」のものと一緒に買いました。で、図録を見て、この絵も見たいな~と思っていたところへ、

国立近代美術館のコレクション展で、靉光の作品、一挙に5点のサービスですよ。

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この痩せた馬に、同時代の画家たちの描いた、やはり痩せこけた馬や、丸木位里・俊の描いた原爆の図の中で、斃れていた馬を連想する。靉光は広島出身でだったが、戦争にとられていたため、原爆は受けなかった。だが家に残してあった作品は焼かれてしまった。そして戦争が終わって1年後、戦病死する。

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シシ(ライオン)   どこが顔でどこが体?とすぐにはわからない。
「目のある風景」の作者と同じ?と思って、図録でもキョロキョロしていましたが、実物はもっとわかろうとすることを拒否するようだった。

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有名な「自画像」。
長谷川利行が描いた靉光の肖像を重ね合わせて見たりする。兵隊に行った靉光の同僚が、靉光を靉光と知らず、俺は長谷川利行の描いたあの絵がすきだ、と言ったので、実はあれは俺がモデルだ、と照れ臭そうに打ち明けたというエピソードがすきだ。遺品の飯盒(だったと思うけど)の蓋には、細かく丁寧に、「いしむら」と掘ってあって、本名 石村日郎として戦争にとられても、いつも何かを刻んでいたのかなと思った。


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宮城県美術館や岩手県立美術館にある、青い花と鳥のメタモルフォーゼを予感させる絵でもあり、靉光の緻密な描写が返って超現実に至るような絵。

水木しげるさんの戦争マンガには、南方に取られたからだが、いつも蝶がふわりふわりと飛んでいるのだが、

戦争というものの惨たらしい重さから解き放たれて、非現実に飛んでいく姿にも思える。

見たいな~と思っているうちに、見たような気になったのか、それともどこかで偶然にも見たのか、という絵があり、

二重像

という絵なのですが、いま、いや絶対どこかで見たような気がする、

と頭を抱え中です。