作家の野坂昭如さんが鬼籍に入られたそうです。
1930年生まれの野坂さんは、
戦争について童話のかたちで、また自伝的小説で描いています。
高校の教科書で、「赤とんぼ」を習って、
ソ、ソ、ソクラテスかプラトンか~♪
の黒メガネのおじさんが書いたのか、と。あのCMは忘れられない。
ソクラテス黒メガネおじさんの野坂昭如の小説は高校時代から夢中になって読みました。
タイトルから傑作ばかりで、『骨餓身峠死人葛』のような、母子の一体感とタナトスとエロスの渾然とした、子宮回帰願望を心ゆくまで味わって、絶望からちょっとだけ顔を上げるくらいの、
落ち込んだひとに優しい小説ばかりですきでした。
読むと釣られやすい私は、就職試験の2次小論文でつい野坂昭如風になってしまったこともあります。あの文体はもにすごくうつりやすいんだ!
20年くらい前のある日、新聞の投稿欄に(文筆業 野坂昭如)の投書が、論説のコーナーではなく、
一般のオピニオンに載っていて、
びっくりしたことがありました。
終戦後70年の節目、
と繰り返し聞いたこの夏に、野坂昭如さんが何を思ったか。
作家には聴くより、
その作品を読み返すことが問うことだと思うので、
きょうの点訳ボランティア講座の帰りにでも、野坂さんの小説とエッセイを借りたいと思います。