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朝郵便受を見に行ったら、
ネットで頼んだ水木さんの『戦争と読書 水木しげる出征前手記』が届いていた。

きのうは水木しげる漫画大全集の『昭和史3』を読んだ。


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水木さんのファンなので、エッセイもマンガも読んでいるけれど、同じ素材でも作品によってスポットライトが違うから、

水木さんの戦争マンガは何冊でも読みたい。



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戦争中、行軍ラッパが吹けないのが苦痛で、部署を変えてくださいと直訴した結果の南方行き。

南方行きは死を意味した当時、文字通り命からがらジャングルを逃げまどう水木さん。一晩中海を泳ぎ、原住民に取り囲まれ、

いままで読んだ戦争マンガではこの原住民に追われるエピソードはなかった気がする。

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殺伐とした描写のなかにも、エッチングのような繊細で妖しい雰囲気の点描のコマが差し挟まれる。

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マラリヤで40度の高熱であっても行軍させられ、動けない状態のところへ敵の空爆。

高熱で頭髪は抜け落ち、水木さんを埋める穴が掘られていた、

という凄まじい状況を、

「マラリヤでぼけていたのでしょう」とねずみ男に語らせる水木さん。水木さんがすきなキャラクターはねずみ男だそうです。宜なるかな。

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水木さんを回復させてくれたのは、生来の胃のよさと、襲ってきた原住民とはべつの部族の、毎日果物を持ってきてくれた子どもや、彼らとの穏やかで天国的な日々だった。

日本に戻りたくない、という気持ちが痛いほどわかりますが、このマンガでは描かれていないけれど、水木さんをかばってくれていた軍医に説得されて帰還。



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軍医が日本に帰れといったのは野戦病院で麻酔なしで切ったような片腕の付け根から骨が露出するから、再手術で骨を切って縫い合わせなければいけないからです。
その入院中に、武蔵野美術大学を受験。
入院患者が白衣で受験ですよ。

美大生と魚屋を兼業するも、エカキは食えないとわかり、紙芝居業へ。


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同じく南方で中尉だった兄は戦犯として8年も巣鴨プリズンに収監され、その妻と子どもと両親を背負って、苦闘するも、
紙芝居時代の終焉を嗅ぎ取り、東京へ出ることに。


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水木さんは三兄弟の真ん中ですが、

長男と次男が南方に取られ、三男は長崎の造船所へ学徒動員でやられ、

この三兄弟が水木プロのお茶の時間に、糖衣のかかったおせんべを楽しみにする平和な時代まで長生きをして、

ほんとうによかったと思う。

『水木しげる漫画大全集 2期』の『昭和史』は今年の春の配本だったのですが、

水木さんが亡くなる前に配本になって、
終戦70年の夏を越えてから他界されて、

きっとそれまで大きな力が守ってくれていたんだろうなあと思います。

『戦争と読書』はこれから読もうと思います。