岩手県立美術館の2Fライブラリー前のスペース。
ここには壁の緩やかなカーブに沿った匠な鬼グルミのベンチがあり、ちょっと一息にいいです。
先日は企画展《松田松雄展》だけで終わったので、きょうは《常設展第3期》攻めです(笑)。
誰かも言っていたけれど、常設展だけで企画展なみのボリュームがあります。
展示替え直後はさらなり。
第3期常設展 10月10日(土)~2016年1月17日(日)
特集 新収蔵作品のご紹介 2
しかし、きょうは久しぶりに舟越保武さんの彫刻が美術館に帰ってきているから、
松本竣介・舟越保武室のレイアウトや構成が楽しみでもありました。
ちょうど学芸員によるコレクショントークの日でして、他県からお越しの2名の女性に混ざって参加。
常設展展示室前の廊下にはいま、三沢厚彦さんのでかいクマが立っているのですが、そのクマから、いま陸前高田市教育委員会から預かっている柳原義達の《岩頭の女》について。
一緒に参加していた女性の一人が、震災後早い時期に陸前高田市に入って、ほんとうになにもなかった、と言っていたことや、学芸員の方が見たクルクルとねじ曲がった柱(市内に入ってきた海水の渦の凄まじさ)、そういうナマの言葉を聴きながら、あららめて奇跡のようにきれいな顔のままだった《岩頭の女》をみんなで見上げる。
私は震災前の高い台座に立っていた《岩頭の女》は資料でみただけで、箱根彫刻の森美術館にも同じ型の《岩頭の女》がいて、たぶん、同じくらい高い台座なんだと思うけど、
下から仰ぎ見ても顔もよく見えないよ(笑)。高い台座がなくなって、近くなってよくなった気がする。
と、その後柳原義達と同時代の彫刻家である舟越保武へ。
《岩頭の女》の流れから、彫刻の台座の免震構造を見せてもらった。
激しい揺れがあっても、美術館自体は揺れないけれど、彫刻の台座が揺れて彫刻が落下したりしないように、揺れを吸収するような仕組みになっていて、3.11の時にはこんなふうに開いていたそうです。作品は全て無事だったそうですが。
美術館ができるときに、彫刻の多い美術館になることがわかっていたので、免震の台座を入れたのだそうです。
阪神淡路大震災以降建てられた美術館は地震対策がしてあり、国立西洋美術館は建物自体が免震構造になっている、というお話でした。
改めてみれば、彫刻の台座にはみなラインが入っている。なんで気づかなかったんだろう。
舟越保武さんの彫刻が帰ってきたら、と思っていた《日本二十六聖人》の4体。FEPですが、屋外の海に向かって立っている長崎の《日本二十六聖人》よりきれい、なはずなんだけど、8月に西坂の《日本二十六聖人》を見たときの感想。
やだ、すごくきれい(笑)。
おかしいなあ、ずっと外にあるくせに、ってなにか感動の勘どころがおかしい。
なんと最近クリーニングしたばかりだったということでした。そうだったのか。謎が溶けてうれしい。
クリーニングが行われたのは世界遺産申請のためだったそうですが、そういえば、長崎に行ったときに長崎の教会群で世界遺産登録を目指す、というようなことが観光案内所のパンフレットや看板にあった気がする。
この4体は舟越保武さんのご遺族からの遺贈ですが、ブロンズ彫刻の型はすぐに壊してしまうものだと初めて知った(笑)。なんとなくずっととっておくような気がしていました。
たしかに大きくて場所を取るだろうなあ。しかも26柱(聖人だから柱かなと思って)。しかし、4体については舟越さんが気に入っていたらしく型が残されていて、それでFEPで作られたものが美術館にあるということなんでした。
このあと、
《萬鉄五郎室》《常設展示室》を見て、トドメにライブラリーで《松田松雄展》関連の本や図録を見たのだった。
つづきます。