今朝鹿児島のホテルのコインランドリーで洗ってきた洗濯物を干しまくり作戦。
加湿と洗濯物の乾燥の一石二鳥。ま、加湿器兼用空気清浄機はありますが。
50年前の(なんと!)倉橋由美子の「迷宮」には、
作者の潔癖を反映したらしい女性が、
中には何も入っていない、空気を冷やしておく冷蔵庫、スティール製のロッカーにはポルノ・グラフィー、
エア・コンディショナーまではないから換気扇をずっと回しておく、自分の匂いがつくのが嫌だから洗濯機でせっせと洗濯をする、
こんな話をするくだりがある。半世紀前ですよ半世紀前。エアコンディショナーがなくても仕方がない。もし彼女がいまの時代だったら、空気清浄機とエアコンディショナーを設置していたことでしょう。
でもせっせと洗濯をして干すわけですよね。
衣類や下着に匂いがつくのが厭といってもその行為自体が生活感のかたまり…。
その辺に倉橋由美子の空想力の抑止がある…なんてね。
私は旅先で洗濯機を回したり、干したりするのがけっこうすきです。
誰でもそうだろうけど、旅に出ればつい、楽しくて疲れに気づかず遊びつづける。貪欲に観光地を求め歩き、心がふわふわ浮き立ち、楽しいんだけど、どこかでリセットを求めているんですね。洗濯機を回して、部屋に干されたものを眺めると、落ち着く。
ここのホテルにもコインランドリーがあってよかった。
洗剤を入れなくてもいいランドリー、入れるランドリー、洗剤をフロントで買うところも、自販機で買うところも、いろいろありまして、
ここは備え付けの洗剤から測っていれるようだ。
コインランドリーは30分300円。
部屋で手洗いすることも多い。
やはり30年くらい前になるけど、中島みゆきが小説のなかで、
コンサートが終わってホテルに戻ってまずなにをやるかといえば、風呂に入って、そのあとバスタブでアンダー衣装や下着をあらう、とあって、
疲れているんだから外注するとか、下着は使い捨てにするとかすればいいのに、
と二十代初めの私は思った。
でも、
洗濯をしながら、コンサートの熱を冷まして、中島みゆきから中島美雪さんに戻って呼吸する時間を作っていたんじゃないかなあといまは思う。正解のあるような話じゃないけど。
コインランドリー室の前には、朝食会場があった。小粋なカフェ風でいいぞ。
フロントで電気ポットを借りる。マグカップもついていて、
ますます生活感があっていい。