水木しげるマンガ大全集、すごくいいです。
1期から読んでいるのですが、2期は脂がのっているというか…。
水木しげるさんがすきで、エッセイや文庫本で戦争について描かれたものをだいぶ読んでいます。
なんども読んだ、と思っていても、水木さんはおなじモチーフでも切り口を変えて描くので、
あ、これも知らなかった、こんなエピソードも知らなかった、とはじめて読む気持ちも味わっています。
戦争で南方にやられるということが、どんなことか、私は水木さんのマンガで知りました。
それはマラリアの病人で高熱であっても戦列に加わり、従軍させられ、マラリアで苦しんでいるところを
敵の爆撃機にやられて腕を失くし、自分を入れる穴(つまりこいつはもう助からないと踏んでいるわけです)を掘る相談を聞くことであり、
暗いジャングルの中を一晩中逃げ続けることであり、
上官の狂気じみた作戦の犠牲となることでした。
水木さんのこのカラー口絵を見て連想したのは当然、藤田嗣治の戦争画です。
おなじく、「誰がためにたたかう?」の「農民も戦った」セクションに展示されていた
舟越保武さんの「原の城」。
百姓一揆である島原の乱(日本史のテストではよく、島原の乱は宗教一揆か百姓一揆か、という
問題が出たなあ~と思い出しました)で戦い、戦死した名も無き農民兵。
頭が空洞になっていて、目も口も虚ろな穴があいている。
「エースをねらえ!」の岡ひろみのお父さんとお母さん。
描かれていたのが私の小学校時代から中学にかけてですから、昭和50年前後だという
ことになりますが、
「軍隊時代剣道3段だったんだよ」
というお父さんのセリフにドキッとしました。
軍隊…調べてみたら戦争末期は年齢が下がっていきますが、いちおう、17歳~40歳が職業軍人ではない、徴兵の年齢だったようです。
若くとって、お父さんは昭和3年生まれでしょうか。
とすると、この頃40代後半。ああ、そんな感じだなあ。
「エースをねらえ!」にさりげなく、出てきた軍隊時代に、という言葉に気づいたのは最近です。
岡ひろみのお父さんは徴兵されていた(たぶん職業軍人ではないと思われる)。私の子供時代、戦争はまだそんなに遠い昔のことではなかったんです。
戦争画を見て、水木さんのマンガを読み、戦争画についての本をよみ、戦争ということがいまいつも脳みそのレーダーにひっかかる状態になっていたので気づいたのでしょう。