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国立近代美術館のコレクション展がめあてで出かけたのでしたが、

こちらの11室では、「農民はたたかった!」。

なんと!センターには、岩手県立美術館にも所蔵されている、

舟越保武の「原の城」があるではないですか。宮城県美術館にもありますので、
これで3体目の「原の城」であります。

こちらの部屋の解説です↓

20世紀前半を代表する作品のひとつであるケーテ・コルヴィッツの《農民戦争》全7点を展示することにしました。それとあわせて、舟越保武の《原の城》(1971年)を、つまり日本の歴史上最大の農民一揆ともされる島原の乱に着想を得た作品を見てほしいためです。21世紀の作品としては、ポーランドのアーティスト、マグダレーナ・アバカノヴィッチの作品を展示します。もはやなにによって抑圧されているのか特定しづらい状況の中、声をあげることも許されないまま生き延び続けなければならないのが現代だとしたら、この虚ろな人間は、今を生きる私たちの肖像だと言えるかもしれません。


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今回は企画展からコレクション展まで、禁止マークのあるもの以外は撮影OKだったのですが、
この部屋では舟越さんの「原の城」が、見慣れたもののはずなのに、インパクトが大きかった。


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そしてこちらは舟越さんの息子さんである、舟越直木さんの作品です。
顔のない人間の胸像ですが、やはり見ているのがおそろしくなるような作品です。

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マグダレーナ・アバカノヴィッチの作品は、入口のちかいところにある、ふたつの胸像ですが、

仮面というより剝された肉面のような形状で、目玉の後ろが空洞になっている点で、

「原の城」の名もなき農民兵士と同じものを感じさせます。

すなわち、なにをもっても埋めがたい空虚。

解説にあった、

「もはやなにによって抑圧されているのか特定しづらい状況の中、声をあげることも許されないまま生き延び続けなければならないのが現代だとしたら、この虚ろな人間は、今を生きる私たちの肖像だと言えるかもしれません。」


という文章は、マグダレーナ・アバカノヴィッチの作品だけではなく、この室全体にかかる文章に思えます。

いままで「原の城」には、島原の乱で戦って死んだ農民兵士、という見方しかしてこなかった私ですが、

工藤哲巳の作品のタイトルではありませんが、

「あなたの肖像」なのかもしれません。

そういう見方もできるということを感じることができてよかったです。