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きょうも岩手県立美術館へ~。

きょうはゴーギャンではなく、こちらのコレクショントークに参加するためでした。


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コレクショントーク 特別展示「私が友 保阪嘉内 ―宮澤賢治全書簡」
日時2015年6月20日(土) 14:00 
場所松本竣介・舟越保武展示室 . 

本展監修者 望月善次氏と学芸員による常設展特別展示「私が友 保阪嘉内 ―宮澤賢治全書簡」についてのトークを行います。(30分程度)

講師:望月善次氏[岩手大学名誉教授、本展監修者]、当館学芸員
定員:なし
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先生に引率された学生さんが多かったです。

《ゴーギャン展》もご覧になったでしょうが、1Fグランドギャラリーに展示されている舟越保武の彫刻4点を見てメモを取っている学生さんがいたり、すみずみまで吸収していこうとしているみたいで、清々しい気持ちに。

引率の先生が声をかけてくれて、高校の同学年だったそうです。テレビで見て私だとわかったもよう。でもでも当時より数歳年も取ったし、10kg太ったのに分かるんかい。…岩手によくある顔なんですよ、私なんて。

ギャラリートークには10名くらいのお客様が参加していました。

講師の望月氏が質問したところ、みんな県内からでした。

岩手の人は賢治派か啄木派に分かれる、というお話で、先日聴いた内館牧子さんの賢治派と啄木派のバトル話を思い出したのですが、


私はふたりとも研究している珍しいタイプです、とおっしゃる望月氏でした。

私は岩手の人にこれもありがちなタイプですが、あんまり賢治・啄木と小学校から言われて、すっかり興味がもてなくなり、賢治は童話だけ、啄木に至っては劇やマンガで知っている以上のことは何もない、でもこういう派もけっこういるんですよ。山口のひとがみんな「ぞうさん」の作者を知っているわけではないように。

難しいお話だったら付いていけないな~と思っていたのですが、望月氏は賢治と嘉内について多方面からスポットを当てるので、

興味の糸が切れる瞬間はなかったです。

個人的に食いついたのは北大の話ですね。嘉内はもともと北大に入りたかった。でも1年目は受験に失敗し、2年目に尊敬する啄木の出身地である岩手にしようとなったそうです。

賢治は盛岡中学の先輩でもある啄木の影響で短歌をやっていたわけで、嘉内と賢治の結びつきには啄木が…。

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寝そべる嘉内と後列の賢治。

さてふたりはどちらが年上でしょう?

という質問も、あれ?同い年だった気がするなあ、いや、もしかしたら嘉内が上のように見えて賢治が上?と迷ったのですが、

同い年、ただし嘉内は賢治が2年生で寮の室長の時に入ってきたと。

このあと、

賢治はチャグチャグ馬コを見ているでしょうか?という質問もあり、

とにかく、初めて伺うお話ばかりで、ほぅ!と賢治になって叫ぶ私であった。(上の正解は「見た」でチャグチャグ馬を詠んだ短歌もあるそうです)

展覧会を見に来たお客様が、手紙について、「絵のようだ」と言った言葉が印象に残っているとお話のあと、賢治の特徴である、繰り返しと賢治が熱中していた日蓮種の国柱会の十界曼荼羅(曼荼羅はふつう絵だけれど文字曼荼羅なのが特徴)の展示と、

「雨ニモマケズ」手帳がじつは「宗教メモ」であって、それは公表のつもりはまったくなかったこと、賢治の生前出版された本は二冊だけで、あとの作品はずっと手元にあり、絶えず校訂がなされたこと、

このお話で、作品は子どもで、世間に出せない子どもはいつまでも子離れできない、というたとえを話されたのが個人的にツボでした(笑)。


望月氏が啄木の研究者でもあるということで、すごーく気になっていた啄木と藤田嗣治の関わりについて聞いたところ、なかったようです、とのことでした。また、賢治と萬鉄五郎について伺ったところ、まず萬鉄五郎は当時の最先端を切り開く作家で、一般的に知られている作家ではなかったことと、

賢治は生前2冊しか出版されず(しかも「注文の多い料理店」に至ってはあまりに売れないので小学校の運動会の賞に出されていたとか)、ほぼ無名だったと。

賢治の方は同郷でもある萬鉄五郎のことを知っていておかしくないはずだけど、望月氏のご友人で賢治の研究者の方が調べても、賢治が萬鉄五郎について言及しているというものは出ていないということでした。

ずっと私が探しても出てこないけど、じつは関わりがあるのでは~とモヤモヤしていた気持ちがスッキリしました。

個人的に嘉内と賢治の絵に共通するモチーフの一つである電信柱に、

「特撮博物館」の電柱と、山口晃の「柱華道」(電信柱と電線のあの形状を華道に見立てているインスタレーション)が連想されました。




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美術館から出たら、ルネ・マグリットの絵のような空間が出現しました(笑)。

特別展示「私が友 保阪嘉内 ―宮澤賢治全書簡」は6月28日までです。賢治のナマの言葉に衝撃を受けてくださいませ。


ではでは♪