『日本・現代・美術』椹木野衣(新潮社)
口絵写真がいきなり、藤田嗣治の「アッツ島玉砕」1943である。
つづいて岡本太郎、中西夏之、赤瀬川原平、秋山祐徳太子…最後が会田誠の「大皇乃敝尓許曾死米」1996まで、年代順に並べられているのだが、
藤田嗣治と会田誠の作品は呼応しているようだ。
そのぐっちゃんぐっちゃんな画面が。
グチャグチャというのは会田誠自身が作品について語った言葉なのだが、
藤田嗣治の「アッツ島玉砕」について語っているようにも思え、
「この世のものすごいアイロニーを感じて、クラクラめまいを覚え」るのである。
分厚い美術批評の本なんだけど、
「日本における近代の美術に「裸体」という緊張感をもたらしたのは、あらためていうまでもなく、黒田清輝である」
なんかかっこいいな!黒田先生。
本書には取り上げられていないのですが。
東京美術学校に裸体デッサンのカリキュラムを取り入れたのは黒田先生、というより、
裸体の緊張感をもたらした、というズバッと切り込む表現の方がかっこいいな。
都築響一の『独居老人スタイル』を重ね合わせてみたくなる。私はダダカンという裸でくらす老人について、都築響一の本で知ったので。
美術の知識がないので、美術批評の本って読めるかな~と思っていたんですが、
赤瀬川原平の「千円札裁判」についても書かれていたし、
意外に読みやすかった。
先日の「針生一郎と戦後美術 わが愛憎の画家たち」展関連講演ではじめて椹木野衣さんについて知ったんですが、
その時主に語られていたのが、Chim↑Pomの作品と、その受け入れられ方、というよりバッシングだったのですが、
バッシングに遭い、発表の場をうしなっていたChim↑Pomに手を差し伸べたのが針生一郎で、それまで引退宣言をしていた針生を現役の美術批評家として復活させたのが、美術批評家が発言して作家や美術を守らなくては、という思いだった、ということで、
針生一郎についても全然知らなくて、ただ、展覧会のラインナップがおもしろそうだったので行って、講演会もせっかくだから、と聴いたのですが、
すごくおもしろかった!
盛岡に帰ってから、図書館で借りられるだけの椹木さんと針生一郎の本を借りて読んでいるくらいで。
『Don't follow the wind』
2015年3月11日(水)~
会場:福島県 東京電力福島第一原子力発電所付近 帰還困難区域
参加作家:
アイ・ウェイウェイ
宮永愛子
Chim↑Pom
グランギニョル未来
竹内公太
小泉明郎
竹川宣彰
トレヴァー・パグレン
Eva and Franco Mattes
ほか
この展覧会についても語っておられて、講演会を聞きながらiPadで検索していましたよ。
わからないまま聞き流せない内容だったので。
息子がハリーポッターの分厚い4冊を読む間に私がこの1冊ってどうよ。毎日学校にハリーポッターと弁当を詰めて登校しているからなあ。
ってことで弁当づくりだ。
きょうは5分でできちゃうよ!