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《百円の恋》の映画予告は主人公一子が小学生の甥とテレビゲームに興じながら、

いかにもだらしなさそうにたっぷりと肉のついた背中をポリポリ掻く場面からはじまる。

このファーストシーンがすきだ。

一球入魂、じゃないが、安藤サクラが精魂傾けて作り上げた一子降臨、という神々しささえ感じる。

やがて、実家に子連れで出戻った妹との派手な喧嘩により、一子は32歳までずっとパラサイトしてきた実家を出てひとり暮らしをすることになる。

妹によれば、バカ短大を出た後、仕事もしないでずっと家にこもっていたらしい。そんな一子に母親は部屋を借りる金をもたせるが、

一子はありがと、の一言もなく、当たり前のようにお札の入った封筒を開けて数え始める。

深夜の100円ショップに自転車で買い物に出かける一子。デブはたとえ3歩でも自転車に乗りたがる。デブは太りそうなものに限って好物だ。そんな教訓のいい見本のような一子だったが、

その帰りにボクシングジムの前を通りかかり、気になっている男性を外から気づかれないように。

これが新井浩文演じる、37歳の狩野。

32歳まで家にひきこもっていて、社会性のない、子供染みたところにある女、

上映後のトークショーで安藤サクラが語ってくれたのは、

ラクな作り方はしたくなかった、

ということ。

一子をただ太ってだらしない女、として演じるのは楽かもしれないけれど、一子はただ太ってだらしのない女ではなく、

なにか自分に自信があってどーんと構えているところもあるし、

深夜の100円コンビニ(お弁当も雑誌もあるのに100円て?と思うけど)に柿ピーやビールやコーヒー牛乳や菓子パンを買いにくるような自堕落生活のなかでも、

毎回、募金箱にお金を入れるとか、

小学生の甥が学校でいじめられていつことを聞いてやっているとか(これは一子がプロテストを目指すようになってから、甥に、学校でまだいじめられてるの、と言って、ボクシングで相手に立ち向かうトレーニングをするところがあり、

TVゲームをしながら、甥はこの伯母には話せたんじゃないかと思わせられた。)、