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筑摩書房から昭和34年に出された、「父・萩原朔太郎」は
長女葉子の処女作ですが、


私はいちばん最初に読んだのが「蕁麻の家」で、その3部作も読んでいるので、

この作品ではあの意地悪いばかり意地悪な祖母(朔太郎の母)が
口喧しいし、葉子に対しても親切ではないにしても、

どこかユーモラスな存在に感じられ、詩人としては天才でありながら、

日常茶飯にはすべて不器用だった朔太郎が、たべものをこぼすから、
と前掛けをかけられたり、馬鹿正直で損をしている、と嘆息されたりする、

その母と息子との関係性が本人にとってはやりきれない時があっただろうが、
読んでいてほほえましく感じられる。のちに葉子が意を決して、

祖母と叔母たちからずっと虐げられていたことを小説にしたときに
被害妄想と一部では思われたそうですが、

せめてこの程度の、気の強すぎる祖母に始終容姿を貶められるとか、
小言を言われるとか、母親もいないのに人並に服を買ってもらおうなんて、と
叱られるとか、叔母さんたちに朔太郎の見ていないところでは居候扱いで邪険にされるとか、


(考えたらひどい話だが)

そのくらいだったらよかったのにね、と思ってしまう。
「蕁麻の家」での虐待はあまりにひどいので…。



この作品の中の祖母は意地悪なところもあるけれど、
どこかに葉子を孫として頼っているところも感じられて、いろいろ考えると胸が痛む。


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さて、装丁が舟越保武ですが、こちらが萩原朔太郎であります。


朔太郎にも似ているけれど、舟越保武自身にも似ている気がする。

朔太郎と舟越保武は似ていないのに、
絵はどちらにも似通っている。不思議だ。


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そしてこちらは、舟越保武が若き日に妻である道子さんをモデルに
してつくった像です。


朔太郎は「昭和9年より明治大学文芸科の講師として週一度、
お茶の水の明大まででかけるようになった」のですが、


ある日、樋口一葉のようなクラシックな女学生がいたよ、

と話し、それはのちに舟越保武夫人となられた道子さんだった、


というエピソードを確かに読んだのですが、
いまあらためて探そうとするとその文章だけがみつからない…。




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ちなみに5000円札の樋口一葉女史です。



うーん、しかし私が自分で樋口一葉みたいなクラシックな女学生、
なんて形容を思いつくとは考えられないしなあ。

どこのページだったんだろう?