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朝、丸亀競技場に迎うシャトルバスの車窓から見たMIMOCA(丸亀市猪熊弦一郎現代美術館)。

香川丸亀国際ハーフマラソンの帰りに寄って堪能してきました。

去年の夏に四国旅を敢行したのですが、丸亀には2泊して、猪熊弦一郎の絵はそれまでまったく知らなかったのですが、



ですっかりすきになって、帰りにゴリゴリ東京によって、はけの森美術館の猪熊弦一郎展まで見たくらいです。

以来、いろんなところで弦一郎さんの作品を発見するようになったよ。

三越の包装紙、「華ひらく」、ずっと残してほしい。

ってなわけできょうも弦一郎さんを堪能してきたざんすー。


猪熊弦一郎展 未知へ向かう悦び
Genichiro Inokuma: Joy towards the Uknown
  
会期:2015年2月1日(日)-5月31日(日) *会期中無休
開館時間:10:00-18:00(入館は17:30まで)

主催:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、公益財団法人ミモカ美術振興財団

そう、きょうからだったんです!

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《自画像》1921年、油彩・カンヴァス

弦一郎さんは1902年生まれなので、19歳の作品ですね。

自伝を読んだら、東京美術学校受験、1度目は受験時間を勘違いしていたせいで落ちたそうなので(早く行ったのに場所を間違えてもいて、まだみんな来ないんだな、とのんびり構えていたというのもおかしい)、

(絵は時間じゃないはずだ、と食い下がって、なんとか二日間の受験を一日だけでやらせてもらったのですが、カッカして焦って失敗だったもよう。私は弦一郎さんのこのエピソードがすごくすきだ。小学生から先生のかわりに美術の授業を見ていたというよりも)

浪人時代に描いた絵なのでしょう。

学校で正式に習う前にすでにこの完成度。



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1階から3階まで吹き抜けていて、白とシルバー、グレーと言ったモノトーンで無機質な雰囲気を木の床と主役である猪熊弦一郎さんの作品が体温を与えている気がします。

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《眠れる女》1927、油彩・カンヴァス、116.8×90.9

壁にかけてあるのは、自分の絵でしょうか。裸婦の敷いている布のデザインに猪熊弦一郎らしさを感じますが、

まだ個性をつかめていない感じです。

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《パレットを持つ女》1931、油彩・カンヴァス、90.8×65.3

個性的な絵になってきたような気もするし、

アンリ・マティスの影響がつよいようにも感じます。女の顔はやがて、顔だけ描いた作品に繋がっていく萌芽を感じさせます。

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《コスチューム立像》1936、油彩・カンヴァス、72.5×52.7

近くに寄ってみると、スカートの花の模様が危うく剥がれそうになっていたりして、荒々しいタッチなのですが、そのタッチに惹かれます。このスカートの布地を描きたかったんじゃないかな?


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《題名不明》1940頃、油彩・カンヴァス、80.7×60.0

マティスとピカソの影響が感じられつつも、のちの「顔」に移行する気配がある。

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《マドモアゼルM》1940、油彩・カンヴァス、81.2×65.4

Wikipediaの猪熊弦一郎の年譜によれば、

1940年 - 第二次世界大戦が勃発し、最後の避難船となった白山丸で帰国する。

この絵は最後のフランスで描いた絵になるのでしょうか。

フランスでは藤田嗣治と家族ぐるみの交際があり、藤田嗣治の影響も感じます。


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《題名不明》1939頃、油彩・カンヴァス、45.1×37.6

奥行きのない、装飾的な画面構成、フラットな筆致はあきらかにアンリ・マティスの影響ですが、

この時代、アンリ・マティスの影響から抜け出そうともがいていたもよう。

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《サクランボ》1939、油彩・カンヴァス、80.4×65.4

こちらも平面的な画面構成で、マティス風ともいえますが、

女性の表情や桜桃を摘まむ手つき、色の合わせ方など、すきな絵です。

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《緑の顔》1938、油彩・カンヴァス、40.1×31.6

ちょっと木版画のような太い描線と、薄塗り、緑とピンクという大胆な配色。

来たな!という感じです。


展示室Aの「自画像」から「緑の顔」までは、猪熊弦一郎が猪熊弦一郎になるまでのメタモルフォーゼを感じられて、妙に惹きつけられてしまい、

何度も行きつ戻りつしました。

何かを得ようとしてもがき、羽ばたこうとする雛鳥や蛹から抜け出そうとしている蝶のように、目が離せない感じでした。