{797E2971-8B94-44A8-8127-A893115AF8DA:01}
{7F8D2CD3-61A8-492C-9E9B-C737990DB563:01}


あとかたの街 おざわゆき (講談社) 1~2巻(3巻は3/13発売予定


雑誌連載を読んで、あ、あの「凍りの掌」の姉妹篇だ、と思いました。




{DB9B7370-D24E-4208-96BB-795D19991C76:01}




あとがきを読んだら、「凍りの掌 シベリア抑留記」(小池書院)
でお父さんの戦争中の体験を描いたら、

お父さんの傍らで当時国民学校に通っていたお母さんのお話も
聞いて、いずれお母さんのこともマンガにしたいなあと思っていたそうです。

シベリア抑留について私は無知でした。

このマンガがなかったら、いまでもそれがどんなものなのか、
想像し、感じることができなかったと思います。

盛岡の公園にはシベリア抑留の記念碑があります。
その傍らには佐藤忠良さんの、向日葵の花を抱いた少女像があります。

佐藤忠良さんもシベリア抑留をくぐり抜けた画家でした。
でも、このマンガを読まなければ、シベリアの酷寒を見ることはできなかった。

描いてくれてありがとうございます。

{7E6F3D79-9B02-4735-A4A6-7DCD7770FF19:01}


雑誌に連載されていた「あとかたの街」の、この回を偶然手にして、

これは読まなきゃ、コミックスになったら読もう、と思いました。


私は「美少女の美術史」に通うくらいなので、女学生、という存在に興味がありました。
いまのJKとかじゃなくて、戦前の女学生です。

田辺聖子さんの「欲しがりません勝つまでは」では、昭和3年生まれの田辺さんが、
女学校や女専で軍事訓練を受けたり、工場で作業をさせられたりする様子が描かれています。

しかし、竹槍訓練は絵で見ると、その恐ろしさが際立ちます。

思えばはじめて戦争ということを知ったのは、

マンガでした。

「はだしのゲン」、巴里夫の「赤いリュックサック」(学童疎開)。

{A5FF7A3B-A8E2-4505-A9D4-954CD0D1D869:01}


主人公あい(おざわゆきさんのお母さんがモデル)の妹ときも
学童疎開に行くことになりました。

学童疎開についても、マンガで読んできたなあ。

柏原兵衛の「長い道」も読んだけど、マンガの「少年時代」は
疎開の苦しさを肌で感じた。疎開だけはしたくないと思った。
でも強制的にさせられるものなのだった。



{B94A62D7-8625-4537-A398-799F14B3FF78:01}


せめて、残り布をかきあつめてときに可愛い服を、と思ったのに、
このあと、臭い匂いをとるためにコメのとぎ汁で洗って、繊維がボロボロになってしまう。

いろんな思いがこみ上げてきて、ときの不用意な言葉に思わず頬をぶってしまうあいだった。
このエピソードがあまりにも切なかった。


{8A7D202F-948D-488E-8F6F-75D3E630E8B5:01}

工場でミシンで指を塗って怪我をしたあい、仲間も長い髪が機械に巻きついて、
ざきざき切られてしまう。

彼女たちはまだ、小学校を出たばかりのほんの子どもだったのに。


{E8F69DA4-4EC5-46EF-BA49-AC910203752E:01}


昭和19年12月7日、名古屋大空襲の直前、名古屋は大きな地震に見舞われる。

そのことは新聞では小さくしか扱われなかった。東南海大地震。
マグニチュード7.9。死者1223人。



{39EF0F28-3113-4930-A6C2-5ECAFF36671F:01}


そして、名古屋大空襲、12月13日。追い打ちをかけるように。

この名古屋大空襲についても知らなかったです。



{81D9B227-6EB6-4493-A413-713140985A51:01}


この大空襲で、小学校時代の友達の一人がなくなってしまいます。
大人しいお嬢さんだった、一番先頭にいる女の子。

彼女は戦争の恐怖から、あいにしがみつき、代わって、私と代わって!と
あいの頬を引っ掻くほどでした。

その数日後、彼女は死んだのでした。



{4EABBE00-6BD0-4910-AA65-ACA343B7DAE4:01}


愛知の戦争の資料をあつめた、「ピースあいち」さんでの取材のマンガが
2巻の終わりにあります。

なかに、戦没画学生の絵の展示がされているところがあって、

最近よんだ、『「無言館」にいらっしゃい』窪島誠一郎(ちくまプリマー新書)が
重なりました。


戦争について私はまだまだ知らないことばかりです。

おざわゆきさんとは偶然、あるイベントで出会って、そのとき頂いた本も
何度も何十回も読み返しています。


菅原初代オフィシャルブログ「魔女菅原のブログ」Powered by Ameba




グルメまんがと戦争まんが。


まったく反対のものでしょうか。

美味しいものをすきなひとと一緒にたべ、つくってくれたひとに
ごちそうさま、と言って笑顔を交わす、

そんなささやかな幸せを根こそぎ奪ってしまう戦争が
おそろしい。あってはいけないことだ、と思う。

そしてその記憶を忘れてはいけないと思うのでした。