{363F83D8-8984-4F1F-B346-88D6E092F721:01}

柳原義達 「岩頭の女」

岩手県立美術館の2階の、舟越保武・松本竣介室の前にスッと
立っているこの女性像は見れば見るほど、強く惹きつける。

最初は震災の被害を体に受け、痛ましいと思っていた。

しかし、最近はその堂々たる姿に思わず見とれている私がいる。
後ろに回ってみれば、広背筋もすばらしい。

このような立ち姿勢を保つためには、彼女はよっぽど鍛えたに
違いない。ふくよかに見えるが、強靭な背筋と腹筋によって、
上体は吊り上げられていて、へそのくぼみは縦に引きのばされている。


この「岩頭の女」は陸前高田市立博物館コレクションだった。

陸前高田市では震災で、市立博物館、市立図書館、海と貝のミュージアム、埋蔵文化財保管庫の4施設が被災。所蔵していた資料約50万点が全て流された。(河北新報 2014年6月1日)

しかし、現在県立博物館の敷地に修復のための施設を建設し、



 現在、古文書類約3万5000点を職員8人で修復中。これまでの処置件数は年3500点だったが、作業効率が上がり年5500点まで増える見込み。作業の様子は開館時間内に見学できる。
 7月には絵画や掛け軸の修復が始まる。首都圏の専門家を招いて修復技術を学ぶ。修復が終わった資料は履歴などを調べて返却する。
 海水に漬かった資料の再生は世界に例がないといい、脱塩や乾燥作業は試行錯誤の連続だった。今後の災害に生かそうと、修復方法のマニュアル作成も検討している。(同上)

2013年4月から岩手県立美術館で帰る日を待っている彼女が
待っている人たちがいる町に帰れる日が近づいている。

帰る日を待つ (岩手県立美

術館 HP From Staff vol.34) 2013年4月




{B243A13B-9861-42BE-9128-60DD08E1F6F5:01}


この欠けた手首の先はじつは、突き出されたポーズだった。



{16593764-CD94-4669-BAA4-4B90806A261E:01}

{7AF54C3C-12A5-4A4F-B39D-4DA513F8F75E:01}



東京国立近代美術館の「犬の唄」

はじめて見たのはもうだいぶ前になるんだけど、

柳原義達、という名前が頭に入って、キジバトをモデルした一連の「道標」シリーズも
パッと眼に入ってくるようになった頃、

はじめてこの女の像に目が向けられたのだった。

あ、ここにもいたんだ…という驚き。

岩頭の女は巨人族か?と思わせるほど堂々と大きいが、
こちらの「犬の唄」の女は小柄だ(あくまでも私の感覚から言って、です)。

しかし、片手は前に突き出され、服従する犬のポーズをとっていながらも、
後ろに回した手は、心は屈服していない、と語っている。


{7AB197F1-22C8-4A96-A80E-0B3A6B6DC0BF:01}


こちらは先日行ったばかりの(1月8日。8日前だ)神奈川県立近代美術館鎌倉別館の
美術館前に立っていた、「犬の唄」

{981AF791-AC32-48FA-B76B-D061D3E1F3DB:01}


いま気づいたんだが、踵をあげて、中途半端なつま先立ちになっている。

犬のポーズをとりながら、遠くになにかをみつけて思わず踵が浮いてしまったのだろうか。

いや、踵が浮いているというより、、、ルルベ?


柳原義達の彫刻もそんなに多くみたわけではないし、「犬の唄」と「岩頭の女」についても、
まだまだわかっていない。

鎌倉館のショップに柳原義達のデッサン展の図録があって、ほどよく薄かったので買ってきた。
そこまですきか?と言われても困るが、

きょうも「岩頭の女」と目が合って、目力でまた負けてしまったので、
惹かれ続けているのだと思われる。