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実家から持ってきた段ボールの中に「青青の時代」が入っておりまして、

正月ののんびりした空気の中で読み返しておりました。

奥付からcomicトムプラス1998年5月~2000年2月号までの
連載であったことがわかります。

前後に描いていた長編は…。

「日出処の天子」LaLa 1980年04月号 - 1984年6月号

「ツタンカーメン(「封印」改題)」LaLa 1994年07月号 - 1995年7月号、
comicトム 1996年05月号 - 1997年4月号

(ここに「青青の時代」)

「白眼子」comicトムプラス 2000年05月号 - 2000年9月号

「舞姫 テレプシコーラ」 ダ・ヴィンチ 2000年11月号 - 2006年11月号

「舞姫 テレプシコーラ」 第2部 ダ・ヴィンチ 2007年11月号 - 2010年10月号


「白眼子」から「テレプシコーラ」までの間がそれほどないことに驚かされます。


以前、「青青の時代」を読んだ時はもちろん、まだ「テレプシコーラ」の連載は

始まっていなかったのですが、


今回読み返して、「青青の時代」の中の登場人物やエピソードが

捻じれたり、裏返しになったりしつつも、響きあっている物語のように

感じられたのでその話を書こうと思います。


あ、1巻のカバーの少女は主人公・壱与(イヨ)。

十歳で登場し、十三歳でずっとそばにいてくれた青年に思いを打ち明けています。


舟で育った島を出て、また舟で島に戻ってくる三年の物語は

苛酷で血腥い戦いの世なのですが、読後感は爽やかですっきりしています。


「日出処の天子」の救いのない終わりとの違いも気になりますが、

当時は時代も近いことから、「日出処の天子」と比べて読んでいたのですが、


それよりは「テレプシコーラ」のほうが比較の対象としては近いものを感じます。

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まあ、カヴァーがこれですから、やっぱり、厩戸さんを連想しますよね…。
こちらは主人公・壱与の大叔母にあたる、聞こえ様こと、照日女子(ティラヒメコ)。



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60歳近い年齢を感じさせない容貌。

太陽が隠れ、闇に包まれた世界にまた太陽を蘇らせたその能力。



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しかし、ほんとうに力をもっていたのは彼女の3つ年上の同腹の姉、
日女(ヒルメ)。



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いまや強大な権力を握っている妹・日女子に完膚なきまでにつぶされる
日女。

なにひとつ自分ではできない、感情をぶつけるしかできない情けない姉、
と容赦ない言葉でもともと精神を病んでいたような日女を痛めつけます。


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そしてとどめのように、壱与の母(つまり日女の娘)・鳴与(トヨ)に
面倒を見させて、売春をさせていた、と日女子が語ると、

日女は倒れてしまいます。

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こちらは若き日の日女。やさしそうな美しい女性で、歌声も
絶品だったらしい。

しかし、日女子が密かに愛していた日男に愛されていることを知った
日女子の謀で彼女の奴婢に凌辱されてしまい、身ごもった子どもが鳴与)


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なぜ日女をこれほどまでに陥れ、罵倒せずにいられないのか。

ひとりになった日女子が分析しているように、大きな欠落を持っているものが
その代償のように授かっている偉大さへの惧れ。

わらわは日女にはなれなかった。

容貌が似ているのは「テレプシコーラ」の五嶋先生ですが、五嶋先生は初手から
主人公の六花に容赦ないのですが、のちに自分には見抜けない才能を持っていたのね、と
分析しています。

日女子も自己分析はしますが、最後まで戦いつづけております(笑)。




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あれが60歳近い老婆の顔か、と驚きを隠せない狗智日子。

とはいえ、山岸凉子も微妙に化粧によって若く見せている顔で、
ほんとうに若い顔ではない、というふうに描いているようです。


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自分を助けてくれたシビが日女子を殺害しようとした疑いから処刑されようとしている、

シビの無実を訴える壱与に与えられたのは、盟神探湯(くかたち)。

沸騰した湯の中に手を差し入れて火傷をしなかったら、
そのものの言葉は正しい、

という、狗智日子に言わせれば「公開処刑」。



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恐怖で真っ白になった壱与にふっと見えた、湯がしずまった瞬間。

彼女が湯に手を差し入れると…(つづく)。