{560E93EE-4520-4DA8-AAC2-76A993232AC5:01}


図録を広げて、この絵とこの絵は似ている!

とやっていると時間のすぎるのを忘れますなあ。

こちらは藤田嗣治の「五人の裸婦」1923 東京国立近代美術館所蔵



{64DB6C0A-2B44-4CBC-89D6-762DF8A778C5:01}


「3人の踊り子」 1917年 背景は紙に金箔を貼ったもの、水彩とグワッシュ。


{E84EF1D5-CDAB-4A1B-9E82-7B13F7B579CD:01}

まあやっぱり、ピカソの「アヴィニョンの娘たち」を連想しますよね。



{D36FD994-F1DB-42BE-9F59-C816C369F32C:01}


しかしなぜか、シャヴァンヌの神話的な絵も重なって見える。

{DD6C69B8-F360-4176-A4AF-30F5FE353796:01}


こちらはモーリス・ドニの「水浴する女」ですが、

こちらになると、ダンスというモチーフと水浴する女のモチーフ、
どちらもあるなあ。

全然関係ないけど、百人一首を分類したことありませんか?

秋の歌、恋の歌、鹿が出てくる、紅葉、なーんてやっているうちに、
どちらのカテゴリにも入るやつが必ず出てくる…あれを思い出しました。



{815D11FD-0598-4CDE-B30C-3AE36BC344B2:01}


3人の水浴する女たちを描いた、やはりシャヴァンヌの作品ですが、


{0016D94F-04FC-4C75-BB74-F29FB25C00F6:01}


こちらは萬鉄五郎の「水浴する女」。

え?なんで部分的に色がついているかって?


{A2F6D3E3-45FC-4C51-8164-6D19A0E75746:01}


これは完成したものが残っていないのですが、250×150くらいの大作でして、
期するものがあって二科展に出品したのに落選して、

怒りのあまりなのか、落胆のあまりなのか、また違う感情があってなのか、
キャンバスを切り刻んで残ったのがここの部分なんだそうです。

ただ、この絵の三人の女たちのポーズは単体で油彩や版画に遣われているので、
もう一度描きなおしたら、どんな作品になっていただろうか、と考えてみます。


{B0255F84-5B45-4449-BD1A-9329A41D2ABC:01}


で、こちらは藤田嗣治の自画像。

東京美術学校、いまの藝大ですが、美術学部の卒業制作に自画像を出すのだそうですね。
いつだったか、所蔵の卒業制作の自画像展をやっていたと思います。見なかったのですが…。


藤田嗣治も西洋画科で主任教授が黒田清輝先生だったのですが、

この黒っぽい陰影のつけ方が、外光派の黒田先生にはよい印象を与えなかったようだ。
藤田嗣治の卒業時の評価はあまり芳しいものではない。


{921E32B9-137B-486F-A710-0D607AEAEA6B:01}

萬さんの「裸体美人」も卒業制作で、国の重要文化財の指定を受けて、
国立東京近代美術館の顔になっているのですが、

やはり評価はよろしくなかった。

しかし、黒田清輝チルドレンに甘んじなかったからこそ、
誰にも描けないものを描く画家が誕生したわけで、

そう考えたら黒田先生はいい先生なのかもしれないなー。


{59DCAEEF-34EB-473E-BA3C-E783D32F5FBB:01}

こちらはゴッホの≪タンギー爺さん≫。壁に掛けてあるのはゴッホのコレクションした
日本の浮世絵の数々であります。

余談ですが、≪タンギー爺さん≫、ロダン美術館にあるものとおなじ構図の
ものがデンマークのニイ・カールスベルグ・グリプトテク美術館にもあるそうです。

パンの本を読んでいて知ったんですけどね。最初、え?ロダン美術館じゃなかったっけ?
と思ったのですが、そういうことなんでした。



{5F844994-4F1D-4431-9F27-EB8D7F394A95:01}



で、それを意識したと思われる、萬さんの「ボアの女」。

森村泰昌さんの言う、毛が生えたようなタッチのゴッホをボアの襟巻で象徴している、
ってことはないですが、ゴッホのタッチって独特すぎますよね。

{9CFBF4F8-5318-48E2-83D7-51AB2DBA967A:01}


藤田嗣治はゴッホを意識したというより、浮世絵にもともと親しんでいたので、
この絵はゴッホの影響というわけではないのですが…。

ああ、またいましたね、藤田の絵の守護神のような猫が。

パリで拾った猫らしいです。

{870DD54B-720F-44D6-83B3-8EC91317DBA7:01}


どうみてもトラ猫ですが、

「ミケ」と名付けていたそうです。

私も子どものころ飼っていた猫がキジトラなのに、
「ミケ」だったよ。ミケ、という語感がすきだっただけなんですが。


{06E474AC-9492-42F6-9D2F-A895A94CDE92:01}

藤田嗣治のこのごつごつした筋肉の描き方、すごいなあ。

なんだかんだいいつつも、東京美術学校で当時は画期的だった、
解剖学と裸体デッサンをカリキュラムに入れた黒田先生の教えが
生きているのではないか、と思ったり、


んー、でもこの極端にゴツンゴツンした筋肉は、運慶というか、国芳とか北斎というか。


女性は白くなめらかな肌で、やわらかな体つきとして描く一方で、
男性は自画像はべつにして、相撲取りを描いたり、神輿を担ぐ男衆や闘う男を描いているのが、
藤田嗣治のおもしろいところであります。

それにしても、あの猫の名前がミケということはきょうはじめて知ったよ。
それがなにか?ですが、これからは自画像を見たら、ミケにも声をかけてやろうと思う。