図録は美術展が終って1,2年してからまた見ると、
当時気づかなかったいろんなものが見えてきたりして楽しい。
今朝の「マッサン」で、ウイスキーの熟成について語っていましたが、
図録も熟成されてるよなあと感じます。
柴田是真 「鷹と猿図」
この絵も当時はあまりピンと来ていなかった。
その後、「超絶技巧 明治工芸の粋」を見て、やっと、
柴田是真が私の脳みそにインプットされ、漆工芸、蒔絵、日本画と
一度インプットされれば、けっこうあちこちで出会うものなのだった。
そして漆絵でピーン!と来て、
岩手県立博物館 2014年12月20日(土)~2015年2月22日(日)
けんぱくの漆絵展も気になるのでした。
二戸市では平成23年3月に発生した東日本大震災の悲惨な思いを風化することなく後世に伝えていきたいとの思いから、この度、福田美蘭氏が東日本大震災をテーマに制作した〈春・夏・秋・冬〉の4部作の一作品「春 翌日の朝刊一面」を譲り受け、
その収蔵を記念して《「春」収蔵記念 福田美蘭展》および第37回企画展《福田繁雄の震災・復興・元気》を同時開催いたします。
2014年12月5日(金)~2015年3月29日(日)
二戸に行きたいなあ~と思いながら、2013年に東京都美術館で行われた、
福田美蘭展の図録をみていたら、
この「夏―震災後のアサリ」が鈴木基一の「貝図」を連想させます。
福島沿岸のアサリに震災のストレスから、溝を境に模様が変わっているという、
「震災アサリにストレス」という新聞の記事を読んだ福田美蘭は、
それから海鮮売り場にいくと、模様の変わったアサリを探して買い求めた、という
地震による解説にあり、私はその震災アサリを贖う気持ちになってしまう。
「若冲が来てくれました」は、ジョー・プライス氏と妻・悦子さんによる、
被災地の子どもたちへの応援の美術展であったと思います。大人もたくさん
やってきたわけですが、被災されたひとはみな、子どものような心になっていたと
思われますし、被災していないけれど、震災復興を願っていたひとたちも、
絵の前で子どもになって居たのではないかと思われ、
子どもたちのためのプレゼントだったと、きょう、考えました。
さて、きのう(なんときのうなのか。年を取ると1年があっという間、
というけれど、それもそうなんだけど、私はきのうのことも1か月前くらいの
出来事に感じる方が多い気がするよ)
上野の国立西洋美術館の研修後、常設展示のすきな絵のあるところをピンポイントで
たーっと回ったのですが、
エドモン・アマン=ジャンの「日本婦人の肖像(黒木夫人)」 1922年 松方コレクション
この絵も自然と目に入ってくるようになった絵です。
国立西洋美術館の「指輪展」に、この絵も出品されていたので。
常設展示の絵が、企画展にこんにちはすると、また違う視点で見るようになり、
さらに「大原美術館展」で、児島虎次郎(1881年~1929年)が最初に買った西洋の絵が
エドモン・アマン=ジャンの「髪」という絵だったので、アマン=ジャンという名前も刻まれており。
そしてこの絵である。
福田美蘭による解説のどこにもエドモン・アマン=ジャンの名前は出てこないので、
これは純粋に私だけの絵画しりとりということになるのですが、
でも似ているでしょう、構図が。
福田美蘭も黒木夫人もおなじポーズ、青い着物で、指輪を左手の薬指に嵌めているという
ところまで一緒であります。
「志村ふくみ≪聖堂≫を着る」 2004年 パネルにアクリル絵の具 194cm×97cm
幅の細い縦長の絵というところも似ているなあ。
こうやって、あの絵とこの絵は似ている!と思いついた瞬間、妙にうれしい。
充実した気持ちになる。こういう経験を重ねて、だんだん私も熟成した見方ができるように
なっていくのでしょうか。