ランチのあと、自由時間30分を挟んで、
午後の研修は常設展の解説ボランティアによる美術トークに参加すること。
お話を聞くことに集中していたので画像はほとんどありませんが、
「本日のテーマ もうすぐクリスマス キリスト教絵画とモネ」
のテーマで約50分の解説、長すぎるかなあ~と思っていたのにこれがあっという間に時間が経ってしまいまして、
その淀むことのない広汎で深い知識もさることながら、
解説を聞かなければ通り過ぎていたようなことも、解説してくださった中村さんのお話が興味深くて、落語を聞いているわけでもないのに楽しく、
ああ、こういう楽しい時間をお客様と一緒に過ごして、美術館のファンに、美術全体のファンになってもらうスタイルっていいな~と、
中村さんのファンになってしまうほどでした。
解説の前に、キリスト教絵画を理解すると、モネをはじめとする印象派についても理解が深まると思いますので、とおっしゃった一言が深いなあと思って、残った言葉ですね。
そういう深い言葉をさりげなく言えたらいいなあ~。
きょうのテーマ以外にも、
国立西洋美術館は松方コレクションを礎としているので、松方幸次郎とヨーロッパに流出後の買い戻しについてなど、
国立西洋美術館のアウトラインの解説もありました。それがまた聞いていて楽しめるんですよ。
話し方も言葉の選び方も、雰囲気も、質問に答える様子も、すべてがいい勉強いなりました。
常設展の美術トークののち、
今度は国立西洋美術館建築ツアーに参加しました。
建築ガイドの方は小川さんと安藤さんのお二人でして、
ボランティア研修のためにガイドをしていただくので、ボランティアの人数や研修などの質問をしたりしつつ、まずは外に出てガイドツアースタート。
国立西洋美術館がル・コルビュジェの設計であることは知っていたのですが、
それだけだったので、今日一日で国立西洋美術館についてもル・コルビュジェについても、前川國男についてもずいぶん学びました。
コルビュジェの設計は上からみると正方形で50m角であることや、
そこに7×7=49本の柱が一定の間隔で並んでいること、
国立西洋美術館の特徴については常設展の美術トークの際にパンフレットをもらっていたのですが、
一緒にあるきながら解説していただくと、見える景色が違ってくるというか。
きょうの研修がなかったら、ここは排水溝だと思っていたと思います。
美術館と、敷地の地盤を切り離し、地震の振動を吸収するためのものだそうです。
本館はル・コルビュジェの設計ですが、ル・コルビュジェは成長をしつづける美術館、無限成長美術館を唱えていたひとで、この美術館もそうなるはずだったらしい。
その本館につづく新館はル・コルビュジェの弟子、前川國男によるもので、師匠の流れを汲んだ設計になっています。
言われなかったら、西洋美術館のこの天井の穴も知らなかったと思います。
天井サークルというそうです。
そして20世紀の現代美術の展示コーナーになっているところに、ル・コルビュジェの描いた油彩画があり、
その絵についても設計に絡めてコルビュジェの思想を解説してもらって、
たぶん、聞いていなかったら、
建築家は絵はうまくないなあ。
のバッサリで終わっていた気が…無知で野蛮な自分が空恐ろしくなります。
西洋美術館のロダン・コレクションはフランスのロダン美術館についで世界2位だそうですが、
この「地獄の門」はブロンズ彫刻の鋳造は12体まではOKなのだそうですが、
なんと1番目の鋳造なんだそうです。
おおおお。
ル・コルビュジェについても、日本近代建築の流れについても、多くのエピソードや知識でガイドしていただいたのですが、
いちばんよかったことは、知ることの深い楽しさと知識を通じて人と楽しい時間を持つ喜びをあらためて教えてもらったことだと思います。