これがよかったんですよー。
保存状態もよくて、いま描かれたみたいな瑞々しさがあって、恩地孝四郎のイメージがガラッと変わりましたね。
恩地孝四郎 【LA DANCE】 1913
長谷川利行の絵みたい、と思ってしまう。
こういう画風と決まったものはなく、果敢にいろんな手法やモチーフに挑んでいる。
多色刷りもおもしろいですが、こういう、スキマから覗く人体の一部という構図も多くあって、
少しずつ具象から抽象へ傾いていったということではなく、
大正初期のこの時代に画を志す若者たちは次々と新しい絵を試すように描いており、恩地孝四郎もその時代を生きていたということだと思います。
版画はもともと手の中で楽しむために小さなサイズで作られているので、作品はどれも小さめです。
美術展では大作につい近寄ってみたくなる方ですが、自画自刻自摺の創作版画がもっていた自由な表現にふれて、
あー、見に来てよかったーと思った私でした。