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岩手県立美術館 美術の楽しみ講座 第2回「彫刻家・舟越保武 -その視線の向こうに」(学芸普及課長 大野正勝氏)  印象に残ったのは、舟越保武の「巨岩と花びら ほか」の中の文章に触れて、「先生の原稿は変わらないが、自分が変わったのか」という言葉でした。


舟越保武の「萩原朔太郎像」、いままでそんなにじっくり眺めたことがなかったのですが、


きょうの講座の中でスライドに映し出された朔太郎を見たら、


凄くよかった。


昭和4年に妻に逃げられた(とは講座では言わないのですが)朔太郎がふたりの娘を連れて群馬の前橋に戻った時の心情を描いた詩「帰郷」(『氷島』)、これを読んで、ああ、もういいな、と朔太郎の彫刻を制作にかかった、


というエピソードも強く残ったです。


私は朔太郎の長女・葉子の作品もすきで読んだけど、いちばん好きなのは葉子の70歳を過ぎてからの顔で、大きな黒目のピカッと光る、強い意思を感じさせる顔だ。


朔太郎の顔は葉子の顔にそっくりで、強いものをよこした。詩とも、朔太郎自身ともちがうけれど。



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「原の城」についても、きのう宮城県美術館でも見たせいもあって、

負け戦のなかで死んでゆく名もなき農民の声が聞こえるように思って、

講座が終わってから、朔太郎と「原の城」を急いで見に行った。


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ほかにも印象に残る言葉はあったのだけれど、


「巨岩と花びら」という舟越保武の本のタイトルにきょうはじめて、


「古事記」のイワナガヒメとコノハナサクヤヒメの物語を連想した。


永遠の命の象徴、石と、

うつくしいが儚い花。

大野さんの儚さを体験してひとははじめて永遠に触れる、という言葉が「古事記」に結びついたのでした。

石と花の対比はもっといろんな深い意味があるとは思いますが、きょうの私にはそう感じられたということで。


ではでは。