森荘已池劇場「店頭(みせさき)」「蛾と笹舟」☆もりおか町家物語館
劇団赤い風提携公演
11月15日(土) 14時、18時
16日(日) 14時
3回公演のラストを見に行ってきました~。
開演に先立ち、演出・キャストでもある坂田裕一さんからこの作品と
森荘已池、その作品とこの劇場でこれから森荘已池の作品を、
東京の「黒テント」がはじめた、「物語る演劇」という手法で、
いまではなかなか読むことができなくなっている、森荘已池の文章をそのまま
伝えるという試みをしていきたい、そういうことを話されました。
「物語る演劇」、朗読劇とも違うのかな~と思っていると…。
「店頭」
セットは奥に障子2枚があり、両脇に観音開きのように開いた壁で構成された、
公園の東屋を抽象化したような部屋。
下手側には素焼きの植木鉢がならべられ、木琴の撥のようなものをもった
ふたりの女性が鉢を叩いて不思議な音楽を奏でている…。ちょっと能楽みたいでもあるし、
竹細工の楽器など、ぬくもりがあり、どこにもない音が印象的だった。
いっぽう、上手にはひとりの男が文机に端座して、なにか手紙を読み上げながら書いているようだった。
丸い坊主頭に、静かな笑みを浮かべているようなこのひとはきっと賢治!
と、
いきなり登場したのは、学生服の三人の美少年。
若き日の森少年は美輪明宏の少年時代といい勝負なくらい、バタ臭い美少年だった。
演じているのは三人の女優さんで、
中学時代(といっても今でいえば高校くらいの感じ)の森少年の活躍ぶりをそれぞれが語る。
早熟で才気煥発、中学生ながらペンネームを7つももって、新聞社に投稿した作品が掲載され、
学校では文芸中心の校内誌を出し、でも生意気だと学校の不良たちにやっつけられそうになったりもする。一人を大勢で乱暴するのはどうだろう、ということになり、それは実行されなかったが、
ひとりで7つのペンネームを持って校内外大活躍の森少年を、生き生きと見せてくれた。
地の文章も会話も、原作を変えずにそのまま使っているということだったので、
それでいま聞いてもこんなにおもしろいなら、この作品を読んでみたいなあという気になる。
と、そんな森少年が家にいると、賢治が訪ねてくる。
憧れのひとである賢治に、外に出ませんか、と誘われて、その都会的なふるまいにドキドキする森少年の心が伝わってくるようだった。
ついた先は、旧盛岡劇場の近くのレストランで、冬のころのことで、角巻をまいたり、マント姿のひとが劇場へ入っていく。その描写もイキイキしていておもしろい。
森壮已池がこの作品を書いたのは30代なのだけれど、まるでほんとうに少年の心と目になって、
目の前にいる賢治にどぎまぎしているようだ。
賢治は慣れたもので、ウェイトレスにオーダーを通し、森少年に文学のことや、非ユークリッド幾何学のことや、法華経のことなど、彼がそれまで知らなかった世界を語り、
興にのって、自分が作った歌を歌いだすのだ。
ここの場面の賢治役の俳優さんがすばらしかったー。
賢治ならこういうふうに堂々と歌うだろう、のびやかに歌うだろう、歌った後、お客さんの方をみて、
笑顔を見せるかもしれない、と。
賢治の童話の「ポラーノの広場」など、4曲くらい、はじめて聴く歌もあったけれど、最後まであきなかった。
歌い終わって、賢治はまたまた森少年を感激させるような憎い演出で支払いを済ませ、
森少年は家に帰ってから、あのすばらしい宮澤賢治に自分は校内誌に文章を書いてくれなんて手紙を出して、「春と修羅」について偉そうな批評なんか書いて、と恥じ入る気持ちにもなるのだけれど、
観ていて(聴いていて?)瑞々しいきもちになれる作品だった。
賢治役の役者さんは、ついこないだ、「短パン☆カーニバル」でふっきれた妄想に生きる高校生をやった役者さんで、幅広いな~と思ったです。
「店頭」と「蛾と笹舟」は休憩なしで続けられたのですが、それもひきしまってよかったなーと思います。
「店頭」は30分、「蛾と笹舟」は60分弱。作品世界の熱があるうちにつづけられた
「蛾と笹舟」についてはまた。
ではでは♪
