実家に帰った時に本棚から持ってきたという、
「賢治売り」
作者は武田鉄矢、というと金八先生とか、海援隊を連想するひとも多いと思いますが、
彼はこの本に出会っていたから、武田鉄矢は賢治、のイメージがある、と。
こういう解釈があるんだよと教えられたと。
この本のタイトルに、あっ!と思った。
読んでいないけど、物質としての本として、馴染みになっている本だったから。
実家のあるまちの、さらに公民館内のサテライト的な分館の図書館でいつも背表紙だけ見ていた本だった。
この猫は賢治を見ていた猫だろうか。
渡辺えりの「天使猫」にも登場したウサギの子ホモイと、
「私」の幼い娘の苦しみが重なるエピソードは風邪のような息苦しさがあり、
実家はもうないのだけれど、あの分館に行けばきっとまだあの棚にある、と思ってしまう。
いや、きっと私は盛岡市内の図書館のいずれかで読むと思うけれど。
そしてこちらは、
「消えた受賞作 直木賞編」
直木賞受賞作中、本になっていない、あるいは本になっても増刷未定などでいま読めない状態になっている作品が、
167作中54作品もあり、この本の作者は自身のホームページでリストを作り、ついには本にしているのだった。
そしてこの中に、
岩手県初の直木賞受賞作、
「蛾と笹舟」も収録されているのでした。
岩手県初の直木賞受賞作家、森荘已池のことを前回の読書部で話したところ、びっくりするほどみんな興味を持ち、
副部長はその日のうちに、この「消えた受賞作家」を手に入れる算段をつけていたという。
「蛾と笹舟」昭和19年受賞もすごいが、
さらに昭和15年にはほかの作品で芥川賞候補にもなっていて、小島政二郎による選評にもふれ、
森荘已池について盛り上がったのだった。
そしてきょう、
まさにその森荘已池の「蛾と笹舟」を「聴いて」「見て」きたのだった。