美術展の図録を、ほとぼりが冷めてから読み返すのがすきです。
行って返ってきたばかりで見ると、んもー、こんな色じゃないっつーの!
と不平不満が先に出てしまい(関係者のみなさんすみません)、
せっかくの解説を味わうこともなかったりするので。
半年くらい経って、べつの美術展を見たことをきっかけにして、
あ、前にあの美術展で見たあの絵に似てるじゃ!とか、あっちに
たしか同時期の絵があったはずじゃ!ということで図録を
広げる。
「大浮世絵展」は浮世絵ナイトで行ったんです。小林忠先生の
「北斎の富士」というお正月にぴったりのテーマのお話はあるし、
お土産に七福神が宝船に乗っている掛け軸や浮世絵ポストカードなどを
もらうし、すごくお得でもあった、浮世絵ナイト。
さて、見たかったのは葛飾北斎の娘、お栄さん、葛飾応為の「夜桜」ですよ。
これも細長い掛け軸なんですが、部分だけ撮ってみた。
あ。
やっぱり私が岡田美術館で見た北斎の作品は北斎画にまちがいないようだ…。
陰影のつけ方とか、指先の表情とか、もうまるでちがうし。
応為の絵はなかなか見る機会がなくて、たまに1点見ると大喜びである。
こちらは鈴木春信。
岡田美術館の小林忠館長の卒論を元に書かれた処女作が、
「春信」だった、というので、春信、そんなにいいのか!と思って。
「大浮世絵展」自体は、さすがいい摺だなあとあまり浮世絵を見ていない私でさえ
その違いがわかるくらいだったんだけど、
「彦根屏風」なんて2週間ないのよ!
涙が滲みそうになるくらい、細かい展示替え…。
もうわかってはいるんです。保存のための配慮だということは。
しかし、そのお詫び、ってことはないと思うけど、その見返りになのか、
図録はすごくいい出来でして、
「ボストン美術館名品展 北斎」の北斎の浮世絵がいままででいちばん
きれいな青で、特に例の口からエクトプラズム(なのか?)を
ふうっと吐くお菊さん(「百物語 さらやしき」)はすごくよかった。。。幽霊や妖怪がすきなので、
そこでよし悪しを判断する私ってどうなんでしょうね。
幽霊・妖怪画だけは
わりによく見ている方だと思うので、この判断には自信があるぞ。
図録は「大浮世絵展」も「ボストン美術館 北斎」も、
印象社制作でした。やっぱり図録って奥付もチェックしちゃいますよね。
で、この図録よく出来てるなあ~と思うと、印象社で。
で、「大浮世絵展」は解説がよみやすくて、面白かったです。
この懐月堂安度のこの独特のポーズと豊満なボディーの美人画、
岡田美術館にもありまして、どんな絵師だったのかなあと「大浮世絵展」の
図録を読みますと。
「正徳4年(1714年)の絵島生島事件に連座して大島に流されたが、享保7年(1722年)の御社で江戸に戻った」
えっ。
私は歴史にも歴史ドラマにも疎いので、唯一知っているのがよしながふみの
「大奥」のなかの絵島生島事件である。疑獄事件なんですよね?
いったいなぜそこに絵師が絡むのかがまた謎だ。
美術展のおっかけみたいなことをずっとやっていたので、
読んでいない図録もたまってきました。
秋の夜長の読書、というにはもう冬って感じですが、
図録読書も楽しいですよ。
絵本というより、マンガを読む楽しさに似ている気がする。
ではでは♪