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―開館一周年記念展―
大観・春草・御舟と日本美術院の画家たち
速水御舟「木蓮」 久々の公開

会期2014年10月4日(土)~2015年3月31日(火)



講演会「速水御舟の二大傑作《炎舞》と《木蓮》」


小林忠館長の講演を聴きながら、


おお!

お話にでてくる画家の名前がほぼ、


「漢字でわかるぞ!」

と、人が耳にしたら吹き出すようなところで
感動していた私です。ああ、こんなやつが講演会に
混じって申し訳ない。




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今回の企画展は岡倉天心が開院した日本美術院、天心の一周忌に
日本美術院が再興された、その百年目にあたる年に、

肖って百年続いていきますように、ということで企画されたそうですが、


(つまり2014年は再興日本美術院百周年ということです)

岡倉天心、五浦、大観、観山、春草と聴いて、
おおお、なぜだ、全部わかるぞ!と。

しかしいま冷静になって考えてみれば、
再興日本美術院100年の節目でもあり、2013年は岡倉天心没後100年、
生誕150年、関係者の展覧会が続くのは当然なのでした。なんでわからないのか私は。


去年、岩手県立美術館解説ボランティアの研修で横浜美術館の
この「横山大観展」と常設展示、キュレーターによるギャラリートークに
参加し、お話をうかがったことも、

今回の小林館長のお話を理解するのにすごく役に立ったのでした。

速水御舟は数年前からすきな画家だったのですが、
すきだなーと思っていても年譜的なことも、
交友関係もあまり知らなくて、


「友達」というテーマで速水御舟と小茂田青樹の絵についてギャラリートークを
伺ってはじめて、小茂田青樹という名前と読み方と、その絵を知ったんでした。


爾来、山種美術館で小茂田青樹の絵を見ては、
あ、速水御舟の友達のひとだ、と思ったり、

また、国立東京博物館でこの花瓶があの絵の中の花瓶か、
と思ったりして、

いろんな体験が次の好奇心の温床になっていくのではないでしょうか。

まあ私は年齢の割に幼すぎるというか、無知蒙昧すぎるので、
なにを聴いても見ても、吸収力100%だ。

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「生誕140周年記念 下村観山展」

横浜美術館のミュージアムカフェは観山の〈小倉山〉に由来していて、

私が横浜美術館にはじめて行ったのは、

子どものころからすきだった、ドガの大きな美術展があったからでした。
ドガの何がすきかというと、バレエの舞台を描いた絵の複製が
保育園にあって、

その絵がすごくすきだったというだけなんですけど。
私の子どものころはバレエ漫画が流行っていて、
女の子たちは始終、ただのズックでつま先立ちになって、
トゥシューズのつもりになっていたものです。

で、ドガの絵をたくさん見て、うっとりして入ったのがカフェ小倉でして。

常設展示で下村観山の絵をみて、あ、すきだな、と思っていて、
その後も何度か横浜美術館に来てはカフェ小倉に寄って、

ついに!その下村観山をまとめてみられる好機が
キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!だったんですよ。

思い付きで行動しているように見える私ですが、
その前には何十年の思いが蓄積していて、

ある日ふっと突進する、そんな感じ。

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そしてついこないだみたばかりの春草だ。


小林館長がこの「菱田春草展」について、


「いやーしかし霊友会はいいコレクションをもってますよねー、」と
うらやましそうな声をあげていたので、

(霊友会、私も気になってたそれ!)

と思って昨日、検索しました。名前の印象通り、宗教法人だったです(笑)。
宗教法人っていい絵をコレクションしていますよねいろいろ…。



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そして、

小林館長が、

「絶対喧嘩できない」と笑っていた山﨑妙子館長の

山種美術館。この「金と銀」展はもちろん、

速水御舟の「名樹散椿」を見に行ったのですが、


思いがけなく、技法サンプルやキャプションがすごく勉強にもなり、
興味深い以上のものがありました。

この夏は(夏もか?)思いっきりあちこちの美術館のイベントに
参加した気がしますが、

山種美術館のブロガー内覧会「水の音」でも、
山﨑館長のギャラリートークでは日本画の技法を解説していただいて、
それがすごくよかった。

技法について、素人がそんなに詳しく知っても、と前は思っていたのですが、
好きな絵をじーっと見ているうちにやっぱり、

これどうやって描いているんだろう、どういう画材なんだろう、
なぜこんな厚塗りなんだろう、この鋭いエッヂはどうやったんだろう、


と、技法についてもおのずと知りたくなってくるんですね。


一度では頭に入らないんですが、いろんな解説やギャラリートークに
積極的に参加しているうちに少しずつ入ってきて、

ますます知りたい、楽しみたい、と思うようになってきます。
(それも半面困ったことではあるのですが…ああ)


速水御舟の「炎舞」と「木蓮」がテーマですから、
もちろん、この「名樹散椿」についても触れられまして、


散る椿、ふつう、椿は花びらをつけたまま、
まるで斬られた生首のように、地に墜ちますよね。

ところがこの散る椿は花びらが散って、
そこから武士にも愛されたそうです。

というのも知らなかったし、モデルが京都北区の地蔵院だというのも
初めて知った。







そうだよなあ、確かに御舟の「名樹散椿」も、

五色八重だなあ…って私は絵のなにを見ているんだろう、
と落ち込んだりもするのですが、


やっぱり絵を見ていい!と思うためには
勉強が必要だとあらためて思ったです。

感受性やセンス、才能、

そういったものだけで作品を見ていいなあ、と
思うより、絵の背景や技法や、その作家についても
こんな作品を描いてきて、そのうえでこれを描いた、

そんなことを知っていたほうが、より深く感じるところが
あるのではないでしょうか。


御舟が「名樹散椿」を描いたのは35歳でした。

速水御舟 41歳

菱川春草 37歳

今村紫紅 36歳


岡倉天心 50歳



一方、


横山大観 89歳

奧村土牛 101歳


ということで、小林館長の実感から、


男は40歳が本厄だけど、実際、気力はまだこれから、

と思っていても体力はここでがたがたになるので、


気力と体力のバランスが崩れ、40代前後で亡くなる画家が

多い。


しかしここを乗り切れば今度は長生きする。

奧村土牛先生なんか101歳ですよ、


というお話が…。


女の人は強いんだけど、男は40歳でガタがくるんだよ、

というのがすごくわかった…。


速水御舟がその思想に感銘をうけたという、


岸田劉生 38歳


だし、


松本竣介 36歳

萬鉄五郎 42歳


長寿の画家といえばやはり、


猪熊弦一郎 91歳

ピカソ 92歳


などなど、多々ありますが、


そして山田風太郎は、


音楽家は短命で

画家は長寿だ、


と「人間臨終図巻」を書いての感想で書いていましたが、



画家は40歳を超えれば長寿に至る、ということでしょうか。


ちなみに女性の画家では小倉遊亀の105歳が目を引くのですが、

岡田美術館の今期の展示では、



師の安田靫彦と並んで展示されていて、

ストーリーの感じられる展示っていいなーと思ったんでした。

ちなみに師匠は94歳で没しています。


(以上すべてその年の誕生日まで生きていたらの年齢になっております)