小林忠館長の講演会、前回の「歌麿のまぼろしの〈深川の雪〉」の時はものすごい盛会で、当日、岡田美術館にいた私は猛烈に悔しくて悔しくて、

次回は絶対!誰かを悔しがらせてやるんじゃ!と決意。で、今回は電話で予約したものの、でも前の席が埋まってたら泣くし!

と思ってこの私には珍しく開演20分前に会場に来た…ら、二番目だった。しかも当日申し込みもできる…なんてこったい!小林忠館長のお話なのに!

と、悔しがらせてやるつもりの誰かが霧消したのが無念なのだった。

何の問題もなく前の席でよかったんだが…

美術関連の講演会はやっぱりその筋の人が熱く語るのがいちばん気持ちいいです。

小林忠館長の講演会は、今年のお正月に



にて、「北斎の富士」を聴いてその熱に打たれていたので。


浮世絵がすきでその魅力を伝えたい、その熱がまずあって、豊かな知識と経験が裏打ちするにじみでるユーモア。

すきなことを語っているから笑顔が絶えない。

その時に箱根にできたばかりの岡田美術館についても触れられ、

行くわ!絶対行くわ!と思ったんでした。

じつは薄情なので、友達には会いたいね~とかいいつつ、何年も会っていないなどザラなんですが、

講演会で紹介されれば義理堅く、「五百羅漢図展」を山口県立美術館に見に行ったりする。まああの時は下関海響マラソンがあったので…。

熱に打たれる、感電するということじゃないかと思われる。美術がほんとうにすきで研究したい、究めたいというわけじゃなくて、

絵や言葉に感電する瞬間を待っている。

きょうの小林忠館長は先週から風邪を召されているということで、

「強いクスリを服んできたから大丈夫」という言葉にまず痺れた(笑)。

小林館長、昭和16年生まれです。

講演の前に小林忠館長のプロフィール紹介が講演会のスタッフからあり、

いいなあ!と感じ入ったのは、ふつう経歴などの紹介ってコトバだけで終わるけど、

著作を見せて紹介してくれたんですよ。

浮世絵が専門で、卒業論文も鈴木春信だったそうなのですが、その論文をもとに初めて出した本、「春信」や、今回の企画展のテーマでもある「日本美術全集 日本美術院」など、実物を見せてもらうのは立体感があっていいなあ。

…紹介の中で思ったのは、小林忠館長は、東京国立博物館、千葉市美術館など美術館や大学での教授を経て現職なのですが、

自分が前にいた美術館にはあれがあった、と思うことで企画展も実現化しやすいところがあるんじゃないかということ。

私は前から美術展にあちこちから集められる他館からの貸出作品に、どうしてそんなに他館のフトコロを知っているわけ?と思っていたんですが、あそこの所蔵品は熟知しているぞ、というのがあればそれが武器になるんじゃないかなあと。

岡田美術館の「木蓮」は、小林忠館長が若き日に、出張のおりに京都国立近代美術館で見てそれが忘れられなかったと(1980年)。

山種美術館の山﨑妙子館長とは親しい友達で、なにしろあそこには御舟作品が109点あるので絶対喧嘩できない、と。思わず吹きましたが、本音かも。

ところが「別冊太陽」の速水御舟特集を執筆してもいる山﨑妙子館長が、

「木蓮」を見たことがないと知って、だって「太陽」には図版があるじゃないか、

と驚いたら、あれは複写で、ということだったそうです。速水御舟専門美術館と言っても過言ではないくらいの山種美術館の館長でさえ実物を見たことがなかった(でも昔から有名な作品だったそうです)「木蓮」。

どういうルートで手に入れたのか聞きたい作品がほかにもたくさんある岡田美術館です。



「これ、民間にあるんですよね。狙っているんだけど」と、ライフルを構える格好をした小林館長がお茶目でウケた。

やっぱりこれ!と思った作品は狙って狙って、手に入れているんだなーと。

その作品というのは、

鍋島焼の小皿に柘榴が入っている静物画。


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あ、
これって草間彌生がライバルは速水御舟、と言っていたというエピソードで出てきた絵だ。



(2014 7/12  草間彌生展関連講演 建畠皙氏)

関連して思い出したのですが、
岡田美術館の4Fの鍋島焼のコレクションですよ。

岡田美術館副館長が佐賀出身で、自ずと鍋島焼の展示が多くなっているもよう。

鍋島焼は見ているうちに繊細でどこかだまし絵の要素がある気がして、その絵柄をみるのが楽しみになってきたのですが、

東日本大震災復興支援サントリー美術館おもしろ美術ワンダーランドin東北

(2014 5/5)

でMY 鍋島焼 を作ろうという、タブレットを利用したお遊びコーナーがあったんですよ。

あれから鍋島焼の模様にグッと惹きつけられた気がします。

って全然小林館長の講演の内容になってないじゃ。

でもお話を伺い、メモを取りながら脳内は関連画像スライドショー状態、

という忙しい状態をお分かりいただけるでしょうか。


90分一本勝負、楽しかったなあ!

続きはまだまだあります。がんばってまた書きます。

ではでは。