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静岡県立美術館には、若冲とロダンがあることは知っていたのですが、

知っているのと実際に目にするのでは全然ちがいますよね。

若冲の「花木鳥獣図屏風」は、千葉市美術館と山種美術館で見たのですが、

美術展に行くと、よその美術館から借りてきて展示しているものを見ることが多いわけで、

だんだん、知っている美術館がふえてくると、あ、これはあそこから来たのね、

となんとなくだが、顔見知りに出会ったような気分。



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こちらは、ブランクーシの彫刻ですが、

ブランクーシといえば、シュッとした金色の鳥の彫刻が多いので、
これはちょっとピカソの女の人の絵にも似ているなあと。

企画展の会場から、常設展示の西洋絵画、そしてこの彫刻のある部屋を

通って、ロダン館へと続いています。


散歩しながら絵や彫刻に親しむ感じの配置でした。ぎちぎちに

くっつけていないところが。



そしてもうひとつ、いいなあと思ったのは、


作品の正面には、作品名のプレートがついていないんですね。


ほんとうのところはわからないですが、


これは作品を見るより、なんという名前の作品なのか、をより注視してしまう

ところのある鑑賞者への気付きを促すやり方ではないのかなあと。


まず、作品をみてください、というメッセージを受け取りました。




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ゴーギャンの彫刻もありました。

珍しいので凝視。


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こちらは、ジャコメッティ。

ジャコメッティといえば、シュッとしたというより、ごつごつしつつも
痩せたそぎ落とした女性のフォルムが浮かぶので、

こちらの抽象絵画めいた彫刻も意外でひきつけられました。



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ロダンのお弟子さんであり、愛人でもあったカミーユ・クローデルの作品。

そんなに大きいものではないのですが、
波を背に手を取って踊るようにしている三人の女、

という構図はヴァロットンにもあったし、比較してみたいところです。


カミーユといえば、モネの「死の床のカミーユ」をオルセー美術館展で見て、
やっぱりすごいなあと思ったのですが、

カミーユ、

という名前が同じだけで、ロダンの弟子であったカミーユが
モネと結婚して亡くなったのだ、とずっと思っていたことを
思い出しました。

ほかにも五木ひろしと五木寛之をおなじ人物だと思い込んでいて、

五木ひろしは歌でも活躍するし、本も書いていてすごいなあ!と
本気で思っていました…中学くらいまでですけどね。


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このロダン館がまた建物自体がおもしろい構造になっていて、

ゆるやかなスロープで下がっていって、ゆったりと配置された
ロダンの彫刻や、丁寧で興味深いキャプションを読んでいくと、

ロダンっておもしろいなあ、もっと知りたいなあ、という気持ちが
自然におこるのでした。




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あんまりよくてかえって、写真を撮れなかったのは「地獄の門」。

「地獄の門」の前のグレーのカーペットに、

上田敏、夏目漱石、森鷗外の翻訳したダンテの「神曲」の一節が
書かれて、というのか、織られていて、

鷗外の訳文がやっぱりうつくしかった。

その演出というか展示の仕方にも、心打たれて撮る気がしなかったんです。

でも次に行ったら、カメラで撮りまくろう!と思います。

(今回カメラを持っていかなくて、iPhoneのストレージ容量を気にしながらの撮影だったので)

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手足を大きくつくっていますよね。


そしてなんだが、こないだ岩手県立美術館で、原館長の舟越保武の
講座で聞いたことを思い出してしまったです。


彫刻の男性像というのは、他は立派に作ってあっても、
陽根は子どものものがついている。


た、たしかに!


いままでそんな視点で考えたこともなかったけど、たしかにこれは
おしっこをしたあとの子どもの陽根だわ!
(リアル小便小僧が手近にいるのでよく知っている)


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バルザックの頭部。

眼玉をくりぬいてあります。髪の毛の表現が大胆。
バルザックの精神そのものを形にしようと格闘したんだろうなあ、
と伝わってくるものがあります。

箱根の彫刻の森だったと思いますが、全身のバルザックの彫刻があり、
出来上がった時にずいぶんバッシングされたというエピソードを学芸員の方から

お聞きしました。


野外彫刻を見てあるきながら、彫刻の歴史や手法や、その作家の特徴やエピソードを
解説してもらう、というイベントがあり、参加したんです。

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ロダンの「考える人」は、子どものころからよく知っているポーズで、

知っているのであんまりまじまじと見たことはなかったのですが、

この大きさと近寄りやすさははじめてだったので、

近寄って、まじまじとみました。


タシーンタシーンという、「ハチミツとクローバー」1巻で
はぐちゃんが作っていた塑像(だと思うけどどうなのか)を
連想しました。


背中のあばら骨と尾骶骨、盛り上がった筋肉と皮膚の感じが
すごかった。


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ロダンのサインがありました。


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この「花子」も、鷗外の「花子」で、知ってはいたんですが、

実際には花子がどういうひとだったのか、なにも考えていなかった
気がします。鷗外の文章はきれいだな、で終わった気が(笑)。

ロダンと花子についての解説や、鷗外の「花子」の引用などのキャプションが
詳しく、


いままでこの「花子」をあんまりきれいじゃない、

で切り捨てていたのですが、

きれいじゃないけど、強い印象を与える頭部だ、

どんな肉体を持っていたのか、どんな気迫の女性だったのか、
知りたいと思わせる彫刻だ、と思ったのでした。


静岡県立美術館は予想以上に大きく、「美少女の美術史」展をめあてに
行ったのですが、この彫刻たちを見ることができたのは幸運でした。


やっぱり行かなきゃ、わからない。

遠いけど、遠いところに行ってはじめて得られるものってある。


…「西遊記」の大乗法典じゃないけどさー(笑)。