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板橋区立美術館で種村季弘没後10年の節目に開催されている「種村季弘の眼 迷宮の美術家たち」(~10/19)。

この美術展のことは、6月に横浜そごうで行われた四谷シモン「シモン・ドール展」のギャラリー・トークで知ったのでした。

ギャラリー・トークの進行役の女性から、いま秋に開催される種村季弘さんの美術展に新作を制作なさっていて、という言葉があったので、

それをずーっと覚えていたんでした。



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2階の美術館に上がると、受付の向こうのホールにすでに作品が展示されています。

大きな立体造形や、天井から吊るされた種村季弘が関わった演劇のポスターなどが展示されていて、

順路のまえにすでに目が釘付けです。

野坂昭如原作の「骨餓身峠死人葛」で、演じている役者はもちろん、土方巽。


私は土方巽についてはすきな作家のエッセイに登場する3文字の名前としてしか知らなくて、最近になってその写真や動画を見ております。



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マックス・エルンストの「ニンフ・エコー」。

実際はもっと青みがかって、靉光の花や鳥を描いた作品に雰囲気が似ているなあと感じました。影響を受けたのか、時代的なものなのか。

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四谷シモンの新作、「シモン・ドール」。

オレンジピンクの大きくて古びたようなリボンやほつれたようなソックスが少女の人形を痛々しく、可愛らしくみせています。

顔も滑らかに仕上げず、片側の頬に引っ掻いたような跡が数条あって、皮を剝がれたウサギの神話を思わせるような。

関節に入った球が穴をこちらに見せているところも不思議な感じで、

ざらついた触感の皮膚と生き生きした眼、上気した頬の少女をこんなに近くでゆっくり見られたのが幸せでした。

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金子國義「美しき日々」

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あまり見たことのなかった、ハンス・ヴェルメールの球体関節人形の写真。

これがインパクトがあって、ああ、この写真に出会って四谷シモンはそれまでの人形を全部捨てて、球体関節人形を作り始めたんだなあというのが、感覚的にわかりました。





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吉野辰海の「水犬」。

宮城県美術館の「アリスの庭」にも一頭います。余談ですが、屋外であたりに広い庭があるためか、

「蛇が出ます、ご注意を」というような看板があって、最初、この彫刻のことかな?と本気で思ったものです。

蛇に遭遇したことはないですが、「アリスの庭」の中でも異彩を放っています。

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「双頭の犬」。どちらも美術館のホールに直立しているのですが、背が高いので見上げる形になってしまいます。


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ビクターの犬かと思いきや、「投影装置の犬」。

本書を読んでから、あれ?じゃああの耳についていたところを覗きこむものだったの?と。


そういう覗きメガネの作品たちもあったので…。

グロテスクだったり優美だったり、蠱惑的だったり繊細だったり、ひとつひとつの作品が種村季弘の美意識や興味や体験してきたことに繋がっていて、

ふつう美術展を見終わるとほかの作品も見たいな~となるのですが、

種村季弘の著作(装丁者としての仕事のコーナーもあった)が読みたくなるのでした。