もりげき八時の芝居小屋 第136回

劇団ゼミナールプロデュース公演


「どんなに用心しても用心しすぎるということはない」



三人のサトルと、サヤカとサオリの女性ふたり、

5人の組み合わせが織り成す万華鏡。





初日、皆既月食の10月8日水曜日のサトル役は、

土曜夜麻痺主宰 古屋仁成さん。


ゼミナール主宰斎藤英樹さんも認める「カッコイサトル」でした。








十六夜の木曜日のサトル役は小卒主宰雪ノ浦光佑さん。


コミカルで憎めない、足さばきの素晴らしいサトルでした。

なんていうんだろう、あのつま先立ちになって、へっぴり腰のあの脚の動き…。


冷や汗がいちばん似合ってました(笑)。




グリーンの上着に水色のシャツ、ベージュのパンツに

ソックスはマルチボーダー、茶色の革靴。爽やかなイタリア人のような

コーディネートであります。


心なしか、クールで知的な美女のサヤカも

よく笑っていたような…。



サオリの可愛らしさときたら。コロコロした仔犬のような、

愛くるしいけどうっとうしいみたいな。そのうっとうしさも

上手く演じくれたなあ。


特にサトルの挙動不審を、さてはサオリンに欲情しちゃってるからだな、

というようなことを、語りつつ踊る(?)場面は3日とも楽しませてもらいました。


しかもそこに微塵のテレもゆらぎもなく、フィギュアスケートで言えば、

コンパルソリーの完璧なトレースを思わせる。弾けた演技が完璧なトレース!





そして立待月の金曜日の夜に現れた三人目のサトルは、

劇団SummerSummerの小笠原利弥さん。


サオリ役の森 木都恵さんとおなじ劇団です。


服装は黒の上下に黒い靴に靴下と、若いサラリーマンのようです。

イメージとしては公務員かなあ。


三人の中ではいちばん、身近にいそうな感じでした。


まるい大きな目の持ち主で、びっくりした時の目を剝く顔をすると、

目玉が落ちそうである。笑顔で冷や汗、がよく似合う。





前半のドタバタから一転、シリアスな展開になるこの

場面、印象的でした。



小柄なサオリが奥に、シュッとしたサヤカが手前にきて、

より小さく、より大きくを際立たせております。


ふたりが前と後ろに出ることで、中央のサトルの

おいてけぼり感がまた強調されます(笑)。





サトルは毎晩変わるけど、サヤカ&サオリは

おなじお二人。


まんまと騙したサトルを肴に盛り上がるふたり。



サトルはサヤカやサオリが、その場にいない相手のことを

悪しざまに言うと、もういいだろう、というようなことを言って

なだめます。かといってサトルがいい人かと言ったらそうじゃないし。





最後の場面。


グラスに入っていたらしい毒物にやられ、苦しそうに

喉を掻きむしるサトルと、


冷ややかに見下ろすサヤカ。


サヤカが微笑みを浮かべながら入ってきたのに対し、

サオリはあれほど豊かな表情にシャッターを下ろし、

冷たい顔のまま、サトルの苦しみを眺めています。


この場面で、最初の方の会話に出てきたフレーズが決まり文句として

出てくるのですが、


キム・ヨナの「ジェームズ・ボンド」を連想しましたねー。



であでは✩