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週刊モーニングを買っていたのは320代終から30代前半でした。

いまもそうだけど、当時も「ギャンブルレーサー」「ナニワ金融道」「鉄人ガンマ」などなど、
他誌ではまずないようなマンガがいっぱいあっておもしろかた。「えの素」とか「ひまあり」(たまに)とか…

「この女に賭けろ!」は「女」を「ひと」と読ませるセンスがいまひとつ苦手ですが、
(これはその人の好き好きだと思うけど…どうもな)

この30歳173cm総合職同期トップの出世、

と何重にも飛び抜けているというか、異色な女が主人公原島浩美だ。

成年男子向けと思われる連載に出てくる女性として、こんなに可愛げのないひとを
出していいのかといまあらためて読んで思う。

でもだんだん、変わっていくんですよ原島浩美。スカート丈が短くなって、ちょっとスリムになって、
可愛くなっていく。連載の開始当時30歳で、終わりの頃にはもちろんさらに出世して
ニューヨーク支店長になるんだが、34、5歳か?むしろその終わりのほうが若々しいんですけど。

さて、1巻の可愛げのない、かっこいい原島さんです。


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当時の鈴木京香がイメージでした。背も高いし、可愛い、というより、
クールでカッコイイ、でもふわっとしたところもある、そんなところが。

「きらきらひかる」は「この女に賭けろ!」より後でしたが、テレビドラマ化された時に、
やっぱり鈴木京香だわーと思いましたね。


総合職同期トップの副主事。しかし、本社から業績の上がらない台東支店への異動。

生意気な総合職の女を辞めさせたいための嫌がらせととるか、
それとも男性とおなじく大抜擢、

どっちだと思う、と聞かれて。

「それは 支店での私しだいだと思います」クールだねえ。



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この風景がほんとうに浅草ですね。途中でまた本社へ異動になるんですが、
それまではずっと浅草の風景が出てきて、隅田川で花見をしつつ、
原島さんの本社への栄転をみんなで祝う、なんて場面もあったんです。

(その台東支店での話がすきだったので、本社へ戻ってからのストーリーは
あまり好きじゃない)

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はじめて隅田川のこの橋に立ったとき、おおおおお、おれはいま原島浩美のみた景色を見ている!
とすごくよろこんだのですが、マンガ好きの皆さん、それはよくあることですよね。

マンガは絵なので、小説より、ここに来た感が強い気がします。

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台東支店でもいきなり渉外に回される浩美ですが、
ご覧の通りのマイペースで管轄を足でまわります。

ちなみに趣味はジョギングで大学時代は格闘技愛好会に所属。
体力も抜群です。


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私は63年生まれで、たぶん、原島浩美もおなじくらいの生年らしいのは、
総合職1期であることでわかります。男女雇用機会均等法により、女性にも
男性と同じように出世できるコースである総合職が与えられたのでした。

しかし、彼女のように総合職を自ら降りてしまったひともいます。

降りるのはいいんですが、この彼女、なんだかんだ、ずっと、

原島さんには負けたくない、

で出てきます(笑)。支店の窓口業務としてできることをすべてやる、という
負けたくないじゃなくて、

婚約した男性に、原島さんには負けないで!というような
負けたくないぶりです(笑)。

結婚が決まって退職するときの捨て台詞が、

私、原島さんには負けませんから!


…いやきっと総合職の女性にもこんなひともいたことでしょう。
でもこれ、原作者が男性なんですよね…。ちょっとひっかかkるなあ。



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この返しもちょっとズレている気がするが、大人しいだけの女じゃない
原島さんをアピールか?でもだんだん、こういう皮肉っぽい言い方はなりを潜めていきます。



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この1巻ではシンワ商事を2ヶ月でとれ、というのが課題です。
自ら、できなかったら逆立ちして支店を一周しましょうか、という啖呵を
切るあたりが、やっぱり格闘技愛好会です(笑)。

格闘技愛好会はもっと連載が進んでからわかるのですが、
なるほど~と納得でした。


シンワ商事を前任の加東さんと訪問して、すぐに応接室にあった
赤富士と李朝の青磁に目がいった原島さん。

ひと目で李朝と見抜くなんてすごいが、そのあとのセリフももっとすごいぞ。

一緒に飾られている赤富士に、李朝の青磁とは次元が違うものに
感じるのですが、とストレートな感想を述べて、相手をした経理部長をむっとさせている。

赤富士はメインバンクの丸菱が得意先に配るもので、
メインバンクへの配慮だったのだった。


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しかし、原島さんはねばり、ついに副社長を引っ張り出す。

副社長がなにをしているかというと、会社の美術品の管理。えっ。


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たぶん、見事なコレクションなんだが、スペースの関係か、
一見そう大したように見えない。すみません。でも資産価値はすごいぞ!

このシンワ商事の資産全体の1/3を占めているんだから。

神谷家は代々、美術品のコレクターであるらしく、大学院で美学を学び、
大学に残って研究職か学芸員になろうかと思っていた長男だったのですが、

経営にひっぱり込まれ、しかし、まったく父の血を引いておらず、
美術品の管理だけが仕事ということになってしまったもよう。


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社長には長男=美術品の管理をやっている=経営には不向きと、
内縁の妻の子=東大を出て一流商社に勤めていたのを無理やりひっぱってきた=常務

のふたりの息子がいて、

後継者問題で悩んでいる社長の心が赤富士と青磁にあらわれていたのだった。


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浅草の甘味処「花子」のおばあちゃんはじつは社長の幼馴染で、
原島さんが思いつめた顔をしてここに来た時に声をかけて、

そこから社内でもあまり知られていない常務がじつは社長の内縁の妻の子、
ということを教えてもらったらしいです。

このあともこの甘味処はよく出てきて、背が高く仕事がずば抜けてできて、
スキのないように見える原島さんのオアシスとなっております。

読んでいた当時は美術館をそんなに見て回っていなかったので、


シンワ商事の美術品コレクションにも全然興味がわかず、李朝の青磁?
それがなんぼのもんじゃと思ったです。

当時は美術といったら絵画しか知らなかった…20年前の自分って、
いまも無知だがどこまで無知だったか考えるとおそろしいくらいのものだ。


企業が美術館をつくる例は枚挙にいとまがない感じですが、
シンワ商事に当時私が連想していたのは、堤一族でした。

なんで!

って感じですが、20代の頃、ひとに勧められて辻喬を読むようになっていたので、
つい…。ほかにもいっぱいあるだろう!と思うんですけど。


この話をずっと書きたかったのでだいぶ満足です。

「この女に賭けろ!」は連載が長くなるうちに、こっちの方向にきたか、と
当時は思ったりもしたのですが、

いま考えたら、むしろ、先見の明のあった展開だったかもしれません。

連載が終わってからさらに十数年がたっていますから、もし、順当に出世を続けていたら
原島さんはぼちぼち、副頭取くらいのポストにいるかもしれません。


ではでは♪