はっはっはっは!
きょうは地元の岩手県立美術館をフルに堪能しましたよ!
次回の企画展「舟越保武彫刻展」 10/25(土)~12/7(日)
に先駆けて、
館長講座2014 第3回 「舟越保武・職人と芸術家」を聴いてきました。
ちなみに入場料無料です。すばらしい。
その後、ライブラリーを利用して増田常徳のずっと見たかった図録を見せてもらって、
(司書の方に書庫の本を出してもらうのは水・土だけなので、もちろん最初からその気で
いきましたとも)常設の舟越保武室も見てきたし。
ちなみにライブラリーは誰でも利用できます。無料です(笑)!
常設展も友の会の会員証を出せば無料です。
無料だから行くわけではないんですが、
こんなに充実した午後がすごせて無料という場所がほかにあるでしょうか…。
彫刻は2年前にアートの森霧島や、箱根彫刻の森美術館で野外彫刻を見てから
すきなジャンルになりました。
それまではそれほど興味がわかなくて、美術と言ったら絵でしょう!
とさえ思っていた。我ながらおそろしい。
絵と彫刻、どちらが先かというと、これが彫刻、野外彫刻なんですって。
霧島の学芸員さんのギャラリートーク、というより、
野外彫刻ツアーに参加した時に知りました。箱根でも参加したので、
混同しているかな。野外彫刻っておもしれぇ!
と思ったきっかけがこのふたつの美術館でした。
去年の秋には、いわてアートサポートセンターで開催された、
カフェトークで、長内努さんの「盛岡の彫刻家」についての講座も聴いて、
私の場合なんでもいつでもそうなんだけど、短い間に猛烈に野外彫刻への
興味が高まったわけでして。
館長講座で特に目からウロコだったのが、舟越保武が
脳梗塞で右手が使えなくなってから片手でつくった、
イエス・キリストをモチーフにした「そのひと」と、
いま展示はしていないんだけど、これよりももっとブロンズって
粘土なんだ、と思わせる、「ゴルゴダⅡ」。
上は「ゴルゴダ」ですが、
きょうはじめて、こんなに傾斜がついていることに気づきました。
いままで正面の顔しか見ていなかった。
ヘラと指先で粘土をねじおとした部分が鮮烈に出ている、
という言葉が印象に残って、講座が終わってから常設の舟越保武の
彫刻を見に行ったです。
まさに格闘の跡だなーと感じました。
館長の話す言葉は、柔和な笑顔と、込み入った用語や
難解な言い回しはないのに、
少し聞き逃すとついていけない。
でも、完全に理解できない方が、話は残るものですよね。
わかった!と思うとひとはその瞬間から忘れてしまう。
この晩年のブロンズ像がなかったら、舟越保武は彫刻家として
そんなに大きな名を残しただろうか、ともおっしゃていました。
粘土との格闘している現場そのものを彫刻にしたものなのではないかと。
この闘いという言葉や、
上の彫刻は「そのひと」、つまりイエスキリストなのですが、
頭から額にかけてすーっと下ろされた深い傷と横の線がまるでキリストが額にうけたキズのようだけれど、
これは破壊衝動なのではないかと。
生々しく、いまできてきたかのように見える、
格闘のすがた。
原田館長はこの岩手県立美術館にくるまでは、舟越保武は
すきではなかったそうです。
が、ここにきて、
「隕石」
をみてすぐにすきになったと。
そうおっしゃったのかな。隕石と晩年の片手でつくったブロンズ像がすきだ、というのは
覚えているのですが。
私もこの「隕石」がすごくすきです。
タイトルのせいもあるのか、SFっぽいと思ってすきだ。
紅霰という石がきれいで、細かな星のようにきらきらしている。
ハヤカワSF文庫にこの横顔をレイアウトしたら、絶対だれもが
読みたくなると思う。
存在感はあるのに、そこにあって手に触れることもできるのに
(それは美術館では御法度ですが)
遠くにいるようにも思える。神秘的でうつくしい。そういう石そのものを
表現したかったんじゃないかと思っているのは私です。
講演の中で、この「舟越保武前随筆集 巨岩と花びらほか」を
ずいぶんご紹介していただいたので、
じつはきのう、ガレリーナ(岩手県立美術館のギャラリーショップ)で
見たんです、この本。
カバーがやっぱり素敵すぎるでしょう。
彫刻家の文章だ、と思った、とおしゃって、削ぎ落として削ぎ落とした文章だというのが
引き金になり、買ってきてしまいましたよ。
そして予想以上におもしろくて、
太宰治や東海林さだおや内田百間といった、すきな作家やマンガ家の文章や
題材に通じるものがあったのが発見でした。
きのう渡辺えりさが高村光太郎のことをずいぶん語っておられたのですが、
その高村光太郎も登場しておどろく。おどろくことはなにもなくて、
彫刻家で盛岡と花巻に当時はいて、それでゆかりがなかったらそっちのほうが
嘘だが、
きのうのきょうなので、
なにかのお導きであろうかと思う私なのだった。
舟越保武彫刻展について、担当学芸員さんから、
当館所蔵の作品以外にもご遺族の方や他館からもお借りして58点の彫刻作品と、
ドローイングをたっぷりと展示するのでお楽しみに、というCMがありました。
舟越保武彫刻展 10/25(土)~12/7(日)
館長講座2014 第4回 「舟越保武・信仰と芸術」 11月3日(月・祝) ✩美術館まつりで舟越保武展も無料✩
館長講座2014 第5回 「舟越保武・晩年の彫刻」 2015年1月17日(土)
館長講座2014 第6回 「柳原義達のこと」 2015年3月21日(土)
柳原義達の「岩頭の女」は常設展示室前にあり、宮城県美術館や秋田県立近代美術館、世田谷美術館などなど、最近柳原義達の彫刻も気になっていたので、この機会に聴きたいなあと思っているのでした。