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東和町晴山駅前の「晴山倉庫 FineArts」へ行ってきました。



長谷川誠さんの「森のしずく」展。きょう14日までだったのですよ。



行ってよかった。



岩手県立美術館の常設展で見ていた絵が頭にあって、モノクロームで描かれた、
緻密な森の作品かな、と思っていたのですが、

予想と全然ちがって、それがすごくよかった。


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晴山駅は釜石線で土沢の次の駅です。

無人駅で、「森のしずく」展から出てきた時と、
長谷川誠さんにお話を伺っている間にも2両編成の列車が行き帰りするのがみえました。


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こちらが晴山倉庫。

ここ、東和町は2005年から「まちかど美術館アート@つちざわ〈土澤〉」が
2,3年おきに開催されており、アートに対するまちの人たちの理解がふかくて、

農業機械の倉庫だったこちらの持ち主が、アートにつかってほしいと
お話をもってこられて、この場所に通ってつくったのが今回の、

「森のしずく」だったのでした。

会場が倉庫というのは案内はがきにあったのでわかっていましたが、
思っていた以上に大きく、特に天井の高い倉庫で。


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こちらが「森のしずく」への入口です。

両手でガシッと掴んであけます。



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この入口のこの塗装がすごくいい!

塗装なのか紙粘土なのかわからないけれど、なにか語るものがある
入口だと。

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私はてっきり中にモノクロームの作品が展示されているのだと思っていたので、

はじめはびっくりして、

それから目が暗さになれると、この造形物が金網に杉の葉を編みつけてできていることが

わかって、

三内丸山遺跡のあの高いやぐらを見上げるような気持ちで、

上をじーっとみて、

それから足元を照らす、切り株の上の小さなロウソク(だと火災がこわいので

もちろん、ロウソク風のライトですが)に目をやり、

耳に入ってくる静かな繰り返しの音楽(ひかえめなボリュームですが、

もし無音だったら、森の圧迫感が息苦しかったかもしれない)。


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長谷川さんはひとりで土日にこちらへやってきて、できるだけ緑色のものを
と拾った杉の葉っぱを金網に編みつける作業をつづけて、

この森をつくられました。



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お話をうかがったあと、撮影してもいいですか?と尋ねたらOKだったので、
しかしデジカメの画像がいくらやってもiPhoneよりきれいにならないので、

なにかカメラじゃなくてiPhoneというのは失礼な気がしていたのですが、
(思い込みなんだけど、なんとなく)長谷川さんもデジカメはiPhoneのような
きれいな色はでないですよ、というので、

ここはiPhoneで撮影。いやほんとにiPhoneにSDカードを入れる仕様になれば
万々歳なんだけど。


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高いところにある窓をあけると、また雰囲気が変わるということで、
窓を2枚あけていただきました。

かなり天井が高いことがお分かりいただけるかとー。



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光が入らない、薄暗い中の五つの杉の木たちは森の神のようで、

光を受けて形がくっきり浮かび上がると、生命を感じさせます。

春には小動物が駆け上がったり、夏には青々と茂り、秋には落葉する
森の一年のような。

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この杉の葉でつくられた森を見ているうちに、その向こうに大きな絵の作品が見えるような
気もしました。

こういう作品にしようというはっきりした構想や設計などを持たずに、
つくっているうちにだんだんこういう形になっていく。

長谷川さんのつくる姿勢は、平面でも立体でもかわらないそうです。

この緑色の青々した杉を縄にしてらせん状に巻きつけることも、
つくっている過程で選び取ったものなのでしょう。

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晴山倉庫の前に杉が積まれていたので、材料を切り出してきたのかと
思ってお聞きしたら、

ここで杉をつかって作品をつくっていることを知って、
近くの人が神社で杉を切り倒すことから、その杉を神社から
作品に使えるように運んでくれたんだそうです。

それまでひとりでコツコツ集めていた杉の葉に対していきなり
大量の杉にすこし拍子抜けしたけれど、

そういう周りの人達は出来上がった作品を見に来てくれて、
話されることが的を射ていて、ということでした。

この青々とした杉の葉はアートつちざわ〈土澤〉の象徴のようにも思えます。

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石膏の作品かな?と思ってお尋ねしたところ、

切り株に直に紙粘土で型どりをしたあと、表面をFFPで固めて強化したものでした。

内側には樹木の表皮が剥ぎ取られてついているので、

いつもは作品の内側をみせるような展示をするのだけれど、
こういう形だから、と白い切り株の形をそのままに置かれていました。

美術館の作品があたまにあったので、このインスタレーションは驚きました、と
率直にお話したところ、

平面の作品をはじめたのは2000年からで、その前は立体作品をつくっていて、


特に画家・彫刻家という意識はなく、そのときつくりたいものに適した

やりかたを選んでいる、そんなことをお聞きしました。


つくりたいもの、というより、表したいものは森の四季の移ろいであり、積もった葉が

やがて腐葉土になって、森の地下水を生み出すもとになっていく、そんな森を流れる時間や

空気だということ。

(たぶんお話になった言葉とはちがうかもしれませんが…)


表現方法は変わってもずっと森をモチーフにしてきたということをお聞きして、私も子どもの頃から

裏が杉林で、杉っ葉でお風呂の焚付をするような子供時代だったので、


生まれ育ったところは森や山のある、自然の多いところでしたか?

とお聞きしたら、


秋田で生まれて、2歳くらいで遠野にうつって、そこに2年ほどいてあとは盛岡だけれど、

遠野のモノクロームの風景がいちばん古い記憶として残っている、


というお話でした。


それをきいたとき、遠野の雪の景色の中にいるような気がしました。


ずっと秋田出身ということから、秋田へ向かう46号線沿いの深い濃い緑の森を連想していたのですが、

遠野だったらわかる。わかる気がするだけかもしれないけれど。


この「森のしずく」は、


「アート@つちざわ 2014」2014年10月11日(土)~ 11月 9日(日)

において 同会場にて再展示されるそうです。





街かど美術館



会期中、千葉瑠依子(踊り子)、中里広太(サウンドデザイナー)両氏と作品とのジョイントが予定されているということで、

10月25日(土)には音楽との、

11月1日(土)は音楽と踊りの両方とのコラボレーションのイベントがあるそうです。