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こちらが「もりげき王」の冠です。
ホタテの貝殻が燦然と輝いております。

今日の予選を抜けて、あしたの決勝で昨年の覇者斎藤英樹(劇団ゼミナール)を破り、

この冠を頭上に輝かせるのは誰なのか。

ルールは、

1作品20分以内
出演人数3人まで

審査方法は、

観客審査員 1人1票
特別審査員 観客審査員と同票を3人で按分

予選Bブロックでは観客62人だったので、特別審査員はひとり20票を持つことになります。

(開票されたものをみたら58名になっていましたが棄権したひともいたのでしょうか)

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平等を期すためくじ引きでその場で順番が決まっちゃうシステム。

司会のくらもちひろゆきさんによる、劇作家の紹介があり、和やかなはじまり。

作品の準備の間に、劇作家が誰の影響を受けたのか、なぜ演劇をはじめたのか、などの紹介もありまして、それが興味深かった。

トップバッター遠藤雄史さんは「ままごと」主宰の柴幸男さん。去年のもりげき王の特別審査員にもいらしていました。たまたま去年、「あいちトリエンナーレ」で「ままごと」の「日本の大人」を見ていたので、その1本しか見ていないのですが、なんとなくその気持ちがわかった気がしました。

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「ポイントカード」
男:川村英(WIREWORK)  女:池田幸代(トラブルカフェシアター)

リストラされた夫と、ポイントカードでお得に買い物をしてきた妻の会話が、次第に
相手を追いつめる方向へ…

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大量のポイントカードでふくれあがった財布。

お前は顧客管理情報に踊らされている、管理しやすい顧客になっているだけだ、と夫は叫ぶが、妻は催眠術にかかったような表情のまま、黒子がもってきたプランターをベランダに置き、スコップを大きく振りあげる…。


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2番目は安保美沙さん(劇団しばいぬ) 「交響曲32325番」

暗いままの舞台で、去っていく「ブラックさん」に激しく呼びかけ続ける声。

なんだろう?テレビやゲームを見ていた、というオチ?と思っていたら、青、赤、黄のコーディネートの三人が同じ色のBOXに座っている。座っている場所には、印刷されたA4の用紙がペタペタと貼り付けられており、そこに三色のラインが引かれている…うまく説明できませんが、カラフルでインパクトがあったです。


やがて彼らがインクジェットプリンタのインクだったことがわかるのですが、

心配性なシアン、短気なマゼンタ、なだめ役のイエローと三色の性格が見えてきて、やがて消耗される未来が待ち受けている3色が、運命を受け入れ、互いの力によってある不可能な出来事に立ち向かうまでを、

寓話のように描いている。


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青森市の山内翼さん 「六弦が世界をつらぬいていくガール」 ガール:山田真由香(劇団かっぱ) ボーイ:男澤周(劇団もりのべる)

飛びこみ自殺をしようとしてし切れず、終電までずっと乗り場をうろうろしていた青年。

そこへ現れた「ギターの神様」と名乗る謎の女子高生。ボーカロイド的なキーの高い声で「私はギターの神様だから」と明るく(?)自殺志願者の青年を救うつもりでいる。

その屈託のなさというより、根拠のない自信とシュールさに呆れていた青年だったが、

始発がやって来た時、彼はたぶん、生きることを選んだのだと思わせる終わり方だった。



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皆川泰亮さん(劇団かっぱ) 「SKINHEAD RUNNIN'」 青年:村田青葉(劇団かっぱ) OL:齊藤有香(劇団かっぱ)

こちらも、天井からぶら下がった輪っかに首を突っ込む青年という、おいおい、また自殺かよ、オーノー、という出だしだったのですが、

それは出だしだけだった(笑)。

青年は親より先に死んだという罪で賽の河原で石を積むことになった。頭に角を2本はやしたOL風の女がそう告げたのである。

「鬼に気をつけて、制限時間以内につめたら天国、つめなかったら地獄」という。

で、音楽に急かされるように積む青年と、
スキンヘッドに1本の角を生やした鬼との攻防が続く。

音楽だけでセリフはなく、パントマイムと表情だけで青年の切歯扼腕、積み上げた石(発泡スチロールのレンガ)を一瞬で蹴散らし駆けていく鬼の痛快さ。

カツラを被って女装で現れたり、自転車で駆け抜けたり、大きなミラーボール(だったかな?)が落ちてきたり、パンが降ってきたり。

やがてなぜか青年に協力的になった鬼と積み上げたところへOL鬼が登場し、青年は鬼を一顧だにもせず天国へ、裏切られた思いの鬼は泣くのであった…。

どれもおもしろくて、もりげき王が全体い去年よりレベルアップしている気がしました。

なんかどれを選ぶのも、こちらが選ぶなんておこがましい、そんな気がしました。

(そして例によって私がいいな~と思うと1位にならないのであった)



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1位は安保美沙さんの「交響曲32325」。
2位は遠藤雄史さんの「ポイントカード」。

Aブロックの嵯峨瞳さんの作品の方がポイント数が高かったので、


あしたの決勝は、

Aブロック優勝者 高村明彦さん「お守り」
Bブロック優勝者 安保美沙さん 「交響曲32325」
A・Bブロック共通2位 嵯峨瞳さん 「Seventeened」

以上の3組が昨年の王者、

斎藤英樹さん 「カナダからの手紙」に戦いを挑むのであった。

講評で特別審査員の佃典彦さんが、全体にアイディア一本に頼っている印象を持った、アイディアで持つのは10分、アイディアから何を紡ぎ出して行くかを考えていってほしい、

(大体こんな言葉だったと思います)

とおっしゃっていたのが印象的でした。


そして私の中では「SKINHEAD RUNNIN'」と「ポイントカード」が甲乙つけがたく、「交響曲32325」がこんなにダントツとは~なのですが、

佃さんの配点がそんな感じだったので、よし、と思ったり、



予選Aブロックの配点も、佃さんと落合さん、新沼さんの配点が対照的なことに興味深く思う私でした。

劇作家は個性が配点にも反映されるのかなあと思ったり、盛岡好みの何かがあるのかもしれないと思ったり。

今年も緊張感のある戦いを見せてくださって、関係者のみなさん、ありがとうございました。

あー、分身の術が使えたらあしたの決勝も見に行きたい!