きょうは岩手県立美術館の団体解説の日でした。


お客様は沿岸からバスでいらしていて、36名。


15分ずつで松本俊介・舟越保武室と、萬鉄五郎室を見てもらいました。

人数が多いので、グループをふたつにわけての解説でした。


15分の解説もはじめてですが、多くても5、6人までだったので、

人数の多い解説に2、3日前から緊張していたのですが、


人数が多いことと、時間が限られていることから、

ポイントをしぼって解説しようと思っていました。



まずはこちらの「婦人像」から。


萬さんが新婚の奥さんを描いたものですが、








ここで萬さんの東京美術学校時代の先生、

黒田清輝の「湖畔」を出しまして、


2点の違いと、萬鉄五郎が目指すものは

なんだったのか、というようなことから、

次へ…。


で、


「仁丹とガス灯」「赤い眼の自画像」の超個性的な

絵をみてもらって、






「日本のキュビスム」のはじまりと言われるこの

絵をご紹介。


セザンヌやピカソを例に出して、キュビスムについても

解説してみました。


フォービスムについては、色彩による絵画表現、

という言い方をこないだなにかで読んで、


それだ!と思ったんですが、


キュビスムについてはまだ、そういう端的な表現を

発見できていません。ピカソの片方は正面を向いた顔で、

片方は横顔になっている女の絵を例に出したり、


セザンヌの白い布の上に転がっているオレンジとリンゴの

絵の話をしたりして、あんな感じの絵を、

まる写しではなくて、日本人が描くキュビスムとしてつくりあげたんですよ、

とお話してみました。





この絵、だんだんすきになってきたんですよ。


この絵の数年前に、もう少し小さめの油彩で男の裸体を

やはり描いているのですが、その絵では自分の表現したいものは

十分描けなかったとして、


満を持してこの絵を描いたんですよーと。





そして夏なので、この「水着姿」を。


一見素朴に見える子の絵の仕掛け。まずモデルと

背景の海は、「別撮り」だ。


水着は当時の最先端だが、なぜにそこに日傘をもたせるかしかし。


日傘も輪郭がずれている。


波は浮世絵みたいな装飾系だし、萬さんの絵は

いまみても新しく、革新的で、見るたびに発見があるのです…


というようなことをお話して、


そんな解説だったのですが、熱心に聴いてくださって、

ありがたかったです。


解説の前はいつもよくばって、あれもこれも、と思ったり、

いまさら「仁丹」のネオン広告は何年からあったんだっけ?

とか、その画像はないか?とかバタバタして、


そのわりには「仁丹とガス灯」をすっとばしたり、バタバタなんですが、


終わると、


よかったなあ、やって、と思う。


きょう来てくださった方が、また萬さんに会いにきてくれたり、

6日からはじまる三沢厚彦展の準備で、あちこちに大きな木彫の

どうぶつたちが居たので、お孫さんやお子さんを連れてまた遊びに

来てくださるといいなあと思います。