「きのう何食べた?」は登場人物が年を取る、まわりも少しずつ変化する、
そんなマンガです。
このマンガと出会ったのは6年前の年末だったと思います。
たまたま買った「週刊モーニング」の「きのう何食べた?」でケンジ(表紙カバーのメガネの
男性)が年越しそばにインスタントラーメンを自分のすきなようにカスタマイズして
ひとりの大みそかを堪能するお話なのですが、
これでやられました。すぐにコミックス1巻を買いまして、
あとは月一の連載を楽しみに待つように…。
とはいえ、やっぱり買おうと思っていても忘れることもあるし、
コミックスになってまとめて読むと、またいい、というか。
9巻でいちばんゴージャスなのはこのエピソードでしょうか。
なんと冷凍冷蔵庫が壊れちゃって、にっちもさっちもいかなくなった
ゲイ仲間の小日向さんとジルベールがやってきました。保冷バッグいっぱいの
食材をもって。
さすが小日向さんの持ち込んだ食材は、倹約がすきなシロさんの
手に負えません。
ローストビーフ用の上等の牛肉の塊に
キンキが丸ごと一匹ですよ。
ほかにもおしゃれで高価な野菜たちがたくさん…。
ここは援軍をよびましょう。
ということで、ふたりの共通の知り合いの佳代子さんという、
主婦歴の長い女性がやってきて、
なんちゃってローストビーフ、
アクアパッツア、
ゴージャスグリーンサラダ
をてきぱきとおしゃべりしながら作っちゃう。
佳代子さんは節約しなきゃといって、サバ料理をパパパッと作ったかと思うと、
いきなり持ち込まれた豪華食材でパーティ料理も作るという、
ベテラン主婦。いやでも主婦の中でもお料理がすきな主婦ですね。
私は豪華食材、自分でも買わないし、作れないなあ。
ゴージャスといえば、この巻でシロさんが50歳になっています。
連載開始のあたりは私より2つくらい年下だと思っていたのですが、
思いこみだったのかなあ。
ワタル、とは、ジルベールのことです。
小日向さんの若い恋人ジルベール。寝ぐせで着るものに全然かまってない、
いい人そうなジルベールがなんで、ジルベール(笑)。
その答えは今週号の「モーニング」にありました。
家庭教師とその教え子だったんですね。出会いはワタル君が十代半ば。
それでジルベール…。
もうひとつ、心にしみるエピソードはこちら。
今年のお花見です。
シロさんのお母さんが病気で入院することになり、
お母さんから料理のレシピを電話で聞くシロさん。
母親の入院、父親の世話、そんなことを相棒のケンジに話して、
「あーあ、俺達年取ったよなー」と嘆息するシロさんですが、
1巻ではゲイと思われることを嫌がっていたシロさんが、ケンジと京都旅行をしたり、
カフェに入ったり、近所を手をつないで歩いたり、
だんだん、ケンジにやさしくなってきた気がします。
このまま、あと少し、連載がつづくといいなあ、と毎回思っているのです。
(そしてどうやらまだ続きそうだ、とホッとするわけです)