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きのう、岩手県立美術館の書庫から出庫してもらった、
「古賀春江展」図録。

「海」のあの横むきの水着ガールがグロリア・スワンソンだと何かで
読んで、へぇーっ、と思ったのですが、

こちらもコラージュの出典がありました。


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よく探してきたなあ、と思うのですが、

美術史的な追求というより、古賀春江の絵に魅力を感じていて、その情熱の
なせるわざだと思いたい。

ビルの屋上でポーズを決めている女性はともかく、あの突き出された片腕とそのまわりの
光背みたいなものまでよく見つけたなあ。

絵はそれだけで見てももちろん、おもしろいんだけど、

私は背景を知れば知るほど、絵がおもしろく感じられる気がします。

レイヤーを重ねるほど、イラストが魅力的になるような感じかなあ。

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下絵だと、女性の腕の形が阿波踊りか!という感じ。
やっぱり、パアッと大きく開いて肘を伸ばしたポーズのほうが映えますよね。

私がいちばん最初にいいなあと思った絵のジャンルがシュールレアリスムなので、

逆にずっと日本のシュールレアリスムには、まがいものというか、中途半端さを感じて
すきじゃなかたったんです。

当時は図録だけが美術だった(笑)。だって美術館なんて物理的にも心理的にも
はるか遠くにある感じでしたもん。

高校時代より脳細胞は確実に滅亡しつつあるはずだし、体力も衰えているはずなんだけど、
いろんな体験や読書が日本のシュールレアリスムをおもしろいと感じるようにさせたもよう。

読書体験と日本のシュールレアリスムは関係ないようだけど、
大正時代のモダンガール・モダンボーイ、「新青年」などについて
書かれた本や、復刻本の表紙などが古賀春江の絵から感じるものと
おなじ匂いがする。


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これらのポスターは二色刷り印刷のキリコって感じ。

図録では資料や論文やコラム記事がおもしろかったです。意外だけど、
古賀春江自身も、出身が福岡県の久留米で、

私も柳川の吊るし雛を見たくて行ったことがあるけど、
北原白秋の出身地なんですね。

その影響もあってか、古賀春江自身もずっと俳句や短歌や詩を書いていたので、
古賀春江の絵は文章での分析を受け入れやすい構造なのかもーと。



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いままでに見てきた古賀春江の図録になかった絵もやはり

集大成的な展覧会の図録だけあって、何点もあったのですが、


特に面白いなあと思ったのは、円のイメージですね。


それこそキリコ風のマネキンっぽい人体と円の組み合わせによる、

独自の絵もあるのですが


私は古賀春江の絵ですきなのはこういう暗い色彩感覚と、大正モダンの

匂いのするコラージュです。


古賀春江の絵の実物は、国立近代美術館と大原美術館でしか見ていないんですが、

いつかこの会場となった神奈川県立近代美術館で「窓外の化粧」をナマでみたいものです。