「真景錦絵」高橋克彦(川嶋印刷) 2013年
「街 もりおか」にこの「真景錦絵」について語っているエッセイの連載があって、
まとめたものを見たかったので、図書館から借りてきました。
「真景錦絵」について、作者の前書きから引用しますと、
「真景錦絵とは私が命名したもので、真実の景色、すなわちカメラで撮影した実際の風景を極端に言うなら輪郭ばかり生かし、画像ソフトを用いて江戸時代の錦絵のようにカラフルに着色した作品である。
つまりは大人の塗り絵だ。」
そしてそれにつづく、本音に共感しましたね、わかるわかる!
「美しい風景写真を撮影できる上でを持ち、
あるいは、見たままの感動を絵に仕立て上げる才能があればこんな面倒な、というより中途半端なものを拵え上げる必要も意味もなかっただろう」
「見つけた玩具箱」というタイトルがついている。
浮世絵の研究家でもあり、「ゴッホ殺人事件」の作者でもある、高橋克彦さんにしかなし得ない、「大人の塗り絵」でありましょう。
「猫地蔵」。
そう、東家さんの猫コレクションのひとつですが、猫地蔵、思わずほほえんでしまいます。
舗道のタイルがエッシャーのだまし絵のような効果をあげていて、めまいを誘われます。
「撮影場所:愛宕町」
とあって、盛岡市中央公民館というタイトルではないのです。でもこの絵、いいですよね。
美術館が水に映って岩手山の夕景になっているように見えます。
ここからはじまる、のタイトルの真意はわからないですが、
IWATE MUSEUM OF ART
ということで、岩手県立美術館のHPのアドレスやロゴ、
ima (いま)
なんですよね。
関係ないかな?
絵が描けない哀しみとともに生きているものとしては、そんなところでも励まされる気がする本でもあり、
観光名所ではないけれど、ここの景色、すきだな、というところが作品になっていると、やはりうれしい。